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NFSJ 人身取引反対世界デー・キャンペーン2022 ~NFSJカフェを振り返る~(2022年7月30日~8月30日)

7月30日の人身取引反対世界デーにちなんで、NFSJでは毎年、オンラインでの啓発キャンペーンを行っています。

今年は、これまで28回開催してきたNFSJカフェのうち、特に印象深かった回を選んで、スタッフ7人で手分けして短い報告記事を作成。この1カ月で10本の記事を本ウェブサイトに掲載し、SNSでシェアしてきました。

「NFSJカフェを振り返る」
http://notforsalejapan.org/looking-back-at-nfsj-cafes

NFSJカフェは、人身取引・現代奴隷制のあらゆる側面、またはその周辺に存在する様々なイッシューを取り上げてきました。今回レポートとして取り上げた内容も、歌舞伎町の夜回りや道玄坂のナイトウォークから、LGBTや入管問題、性風俗や性的同意、そして鉱山やシーフードなど産業とのつながりまで、多岐にわたります。

少しでも興味の引かれた話題があったら、ぜひ読んでみてくださいね。

*「私たちがNFSJカフェを開く理由」については、こちら
http://notforsalejapan.org/nfsj-cafes/202207/974

*NFSJカフェの過去の開催リストはこちら
http://notforsalejapan.org/wp-content/uploads/2022/07/NFSJ-Cafe-List.pdf

Vol.10 「すべての根底にある『性的同意』問題〜性的搾取被害者支援の最前線で思うこと」

(第24回NFSJカフェ 2021年6月23日オンラインにて実施)
ゲスト講師:岡恵さん(NPO法人ぱっぷす相談員)

NPO法人ぱっぷすはNFSJも参加しているJNATIP(人身売買禁止ネットワーク)のメンバーで、岡さんは運営委員の一員だ。JNATIPでは毎年政府関係省庁との意見交換会を行っており、事前に政府に対し様々な質問や要請を提出する。ある年、岡さんの準備を私(栗山)がお手伝いさせていただく機会があった。その時に岡さんがつぶやいた「とにかく性的同意が問題の根本なんだよね」という言葉をきっかけに、このNFSJカフェが実現した。

当日は冒頭から「体の自己決定」「バウンダリー」「性的同意」等のキーワードが並んだ。子どもも大人も自分の体をどう扱うかは自分で決める「体の自己決定」権を持っている。自分自身が心地よいと思う人との距離、境界線(バウンダリー)も自分で決めていい、と説明された。

またむやみに人には見せない、触らせないプラベートゾーンがあり、触れられそうになったら「嫌!」と意思表示をしていいことも。ぱっぷすに相談を寄せる被害者の多くがこれらを知らないという。

ディスカッションでは「私たちも教えられてはいないし、知らない」「性教育以前の問題。自分の体を大切にすることを幼少時から伝えていくことが重要」等の意見が出た。

性的同意に関して、私が理解した重要なポイントは…

・性的同意は対等な関係で結ばれるもの。親子、先生と生徒など不均衡な力関係のもとでは成り立ちにくい。アダルトビデオ出演などの契約関係、金銭の授受が存在する場面では、関係が対等ではないので性的同意はない。

・性的同意は毎回確認されるべきもの。過去に同意したとしても、今イヤならNoと言ってよく、その意思は尊重されるべき。写真やビデオ等は撮影時だけでなく、視聴時も撮影者と被写体の間で毎回同意確認が必要となる。しかしそれは現実ではほぼありえないので、画像・映像等では性的同意は成り立たない。

なるほど! と腑に落ちた。

つまり商業的なものはもちろん私的な撮影でも、性的画像、映像ではそもそも性的同意がなく、成り立たない。性的に搾取しない・されない社会をつくるには、性的同意のこの概念が広く知られることと、いつでもNoと言えばそれが尊重される”常識”が必要だ。

もう一つ心に残ったのは、「日頃から社会がどのようなメッセージを若い世代に送っているかが重要」というもの。自己責任を強調する社会の風潮は、被害者に「自分が悪い」と思わせ、悩みを相談しにくくさせる。

あなたは絶対に悪くない。後になって「本当に嫌だった!」と気づいたのだから、気づいた今から相談していい。対価を受け取っていたとしても関係ない。まずは相談しよう! これは、私たちNFSJもしっかりと発信していきたいメッセージだ。

(栗山のぞみ)

*NPO法人「ぱっぷす」のウェブサイト
https://www.paps.jp/

*AV出演被害防止・救済法施行(2022年6月23日)について
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/avjk/index.html

*JNATIPのオンラインセミナーの動画
2020年夏の第1回セミナーに岡恵さんが、また2021年冬の第1回セミナーにぱっぷす理事長の金尻カズナさんがそれぞれ登壇され、デジタル性暴力等について語っている。https://www.jnatip.net/videos

*岡さんの詳しいプロフィールなどは、このイベント(第24回NFSJカフェ)の告知ページへ
http://notforsalejapan.org/news/202105/853

Vol.9 「外国人入国者の現実~入国管理センター訪問を通して~」

(第21回NFSJカフェ 2020年8月6日オンラインにて実施)
ゲスト講師:
アレックス・イーズリーさん(東京バプテスト教会・入管施設ミニストリーのリーダー)、
トーマス・アッシュさん(ジャーナリスト、映画製作者、聖オルバン教会会員)

コロナ禍以前は、家族に仕送りをするための出稼ぎなど、さまざまな理由で多くの外国人が来日していた。労働力の高齢化が進む日本において、彼らはこの国の経済を支える貴重な存在だ。また、政治的その他の迫害から逃れてきた難民や亡命希望者もいる。この2つのグループの中には、日本各地の入国管理局収容施設に不当に収容され、時には非人道的な扱いに耐えている人たちもいる。

移住労働者と難民は人権侵害を受けやすく、人身取引とも密接な関係がある。私自身がファシリテイタ―を務めたこの回のNFSJカフェでは、アレックス・イーズリーさんとトーマス・アッシュさんを招き、二人が何年もかけて収容施設に通って被収容者の男性たちを訪問し、支援してきた体験を聞くことができた。

訪問者は一度に30分の面会が許されており、一日に最大5人の人に面会することもあるとのこと。(私も一度品川のセンターに行き、2人の女性を訪問したことがある)。被収容者一人一人が固有のストーリーを持っているので、まず耳を傾け、次回来るときに何を持っていけばいいかを尋ね、イエス・キリストの愛を示し、分かち合う。

拘束された理由、ひどい環境、孤独など、心が痛むような話も多い。不当な入管政策に翻弄されるこれらの男性たちを支援する二人の献身的な姿に、カフェの参加者は皆、感動していた。

トーマスが制作したドキュメンタリー映画「Ushiku」は、現在日本全国で上映されている。「茨城県牛久市にある入国管理センターに長期収容されている外国籍の人々に取材し、権力による人権蹂躙を詳らかにする。権力の暴走に警鐘を鳴らす告発映画。」(山形国際ドキュメンタリー映画祭2021)。

ぜひ予告編と記事を見てから、ご覧ください! https://www.ushikufilm.com/

9月9日より東京でも再上映されるとのこと。https://www.ushikufilm.com/theaters/

(神門バニー)

第21回NFSJカフェのアナウンスページはこちら

Vol.8 「『海の奴隷制』と日本のつながり~私が食べているこの魚は大丈夫?~」

(第28回NFSJカフェ 2022年5月27日オンラインにて実施)
ゲスト講師:小園杏珠さん(認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ)

認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウのビジネスと人権プロジェクト担当の小園杏珠(こぞのあんじゅ)さんを講師に迎え、オンラインでNFSJカフェを開催。海外の漁場で起きている奴隷労働、そして日本の関与についてお話しいただいた。

2018年製作の映画「ゴースト・フリート〜知られざるシーフード産業の闇〜」は、インドネシアの漁船で奴隷として働かされている男性たちの現状と、そこから助け出そうとしているタイ人女性の活動家についてのノンフィクションである。この映画の公開に先立ち、今回のNFSJカフェでこの問題を取り上げることにした。多くの被害者たちは田舎から誘われ、逃げ道のない虐待的な環境に閉じ込められている。違法に、もしくは奴隷を使って漁獲された魚が日本でも知られることなく購買され消費されていることを、小園さんが説明してくれた。

伝統的に日に一回は魚を食べる日本人は、国内外で魚を多く消費している。しかし製品の裏にある闇の産業は全く知られていない。日本は海産物の輸入が世界で三番目に多く、輸入されている魚の24~36%が違法に水揚げされた魚だと言われている。違法に獲られた魚や奴隷が使われている場合はIUU (Illegal (違法), Unregulated (無規制), Unreported (無報告))漁業 とも呼ばれる。参加者も皆この数値やスーパーでIUU漁業による魚が加工され他の製品となって売られている現実に驚いた。

いくつかの国や組織は法律や規則を作り、自分たちの領域や所属する国々で確実に実行するよう努めている。欧州連合(EU)と国連の食糧農業機関(FAO)だ。日本は FAO によってつくられた寄港国措置協定(PSMA)の一員で、海洋管理協議会(MSC)と水産養殖管理協議会(ASC)の認証などを使っている。このような協定により、無報酬で強制労働を強いられている人々の人権を守り、責任を持って自分たちの購入している魚がどこから来ているのかを知ることができる。

小園さんは最後に、私たちがどのようにこの問題に立ち向かえるのか、お話ししてくれた。まず日本における違法漁業の実態を知り、漁業での奴隷労働について人に知らせること、そして、違法漁業やそこで行われている奴隷労働を止める活動を行っている団体を支援することだ。
(ウィルソン恵み)

・ゲストのプロフィールなど詳しくはこちら

・ヒューマンライツ・ナウによる日本の水産業関連会社に対するアンケート調査結果報告書 https://hrn.or.jp/news/21115/

・ヒューマンライツ・ナウによるIUU漁業問題に関するページ https://hrn.or.jp/news/21586/

・映画『ゴースト・フリート~知られざるシーフード産業の闇』 https://unitedpeople.jp/ghost/

・映像『タイ:海の奴隷制~無法の海域 (Thailand: Sea Slavery~The Outlaw Ocean)』(日本語字幕つき14分)【NFSJ YouTubeチャンネル】 https://www.youtube.com/watch?v=D1nk16IXXCc

 

Vol.7 「留学生が見たニッポンの性風俗産業〜ドキュメンタリー『Beyond the Yellow Line黄ら黄ら』上映会」

(第17回NFSJカフェ  2019年6月13日 武蔵野プレイスにて開催)
ゲスト講師: 小川モンゴメリー花子さん、テシ・リッゾーリさん(上智大学生=当時)

この日のNFSJカフェは、ドキュメンタリー『Beyond the Yellow Line黄ら黄ら』の上映会を武蔵野プレイスに於いて開催。制作者の小川モンゴメリー花子さんとテシ・リッゾーリさんをお迎えして、上映後の質疑応答では、アメリカやイタリアでの性風俗、娼婦たちの様子も伝えてもらい、参加者の戸惑いや問題意識についての意見交換など、非常に有意義な時間を持つことができた。

上映作品は、歌舞伎町など性風俗界隈での取材インタビューで構成されている。留学生たちの問いかけに、誰も彼も屈託なく、正当性を説くように答えている。その様子には感心してしまったが、きっと、外国籍の若い女性たちの研究取材だからなのだろう。日本人どうしではこうはいかない。警戒心だとか羞恥心も邪魔して、適当に誤魔化すような答え方になるはずだ。自分の国の、そしてまた自分の恥ずかしい部分は誰でも知っていて、できればそこに触れてもらいたくないものだ。

上映後の参加者たちの意見交換では、「このような性風俗の実態を見せるだけの作品を、ノット・フォー・セール・ジャパンが取りあげるということは、つまり、これを是認しているということか?」という質問も出た。しかし、「こういった性風俗産業の問題で、最悪なのは無関心。無関心とは、否定でないばかりか、むしろ肯定していることにもなる」と、人身取引被害者の救出などに尽力している方の力のこもった意見もあって、今回のNFSJカフェでの上映会に、大いに意味を見出すことができた。

留学生たちの視点で捉えてこそ実現できた、日本の性風俗産業における人々の赤裸々な実態。これをまず見て知ることは、無関心の扉を開いて、問題を考えるための大きなステップになるはず。YouTubeで誰でも見ることができるので、ぜひ見て欲しい。
(ナムーラミチヨ)

『Beyond the Yellow Line黄ら黄ら』(全編)
https://www.youtube.com/watch?v=-q8TcvGXePo&t=1786s

・ゲストのお二人のプロフィール(当時)など詳しくはこちら
http://notforsalejapan.org/news/201905/538

Vol.6 「現代の奴隷制~隠れた問題をどう測るか~」

(第26回NFSJカフェ  2022年1月19日 オンラインにて実施)

今なお世界にはびこる現代奴隷という問題に企業などの組織が戦い対処していくためには、国ごとの、また世界の最新データと情報を得た上で、対策を立てていくことが不可欠だ。けれども、現代奴隷制はその隠れた性質上、信頼できるデータの収集が非常に難しい。

この課題に応えるため、ウォークフリーは、社会調査の手法と先進技術を組み合わせ、「世界奴隷指標(GSI)」の仕組みを開発した。GSIは産業や国を超えて存在する現代の奴隷制を詳細に把握し、各国政府がどのような対策を行っているかを分析するものだ。

2022年1月19日、第26回NFSJカフェにおいて、ウォークフリーのブリタニー・クァイさんとエリー・ウィリアムズさんがGSIについて発表してくれた。お二人の発表によって、参加者は、現代奴隷制が今世界中でいかに蔓延しているかを理解することができた。

ウォークフリーによれば、現代奴隷制の中に囚われている人は世界で約4,030万人にのぼるという。もちろんこの数字は推定値に過ぎない。奴隷制に囚われている人の多くは隠されており、またその状況が危険であることから、実態は未だにほとんどが知られていないのだ。

ウォークフリーのような組織がこのような調査を行うことに尽力し、反奴隷制の取組みに役立つツールやデータを作成していることを知り、大いに勇気づけられる思いだった。なお、前回のGSIは2018年に発表され、2022年の指数は2022年中に発表される予定。
(ランドララ “ダラ”・ラコトマララ)

・ゲストのお二人のプロフィールなど詳しくはこちら
http://notforsalejapan.org/news/202112/896

・世界奴隷推計(Global Slavery Index)そのほか、ウォークフリーによって書かれた最新のレポートなどはこちら(英語) https://www.globalslaveryindex.org

・GSIのうち日本に関する国別データおよび国別研究(英語)はこちら
https://www.globalslaveryindex.org/2018/data/country-data/japan/
https://www.globalslaveryindex.org/2018/findings/country-studies/japan/

・上記日本に関する国別データ(一部)と国別研究(全文)のNFSJによる日本語試訳はこちら http://notforsalejapan.org/wp-content/uploads/2018/08/Global-Slavery-Index-2018-%E5%92%8C%E8%A8%B3-1.pdf

 

 

 

Vol.5「ヴィレム・ボーツさんのお話を聞こう~道玄坂ナイトウォーキングから見えてきたもの~」

(第4回NFSJカフェ  2016年3月21日 武蔵野プレイスにて実施)

在東京南アフリカ大使館の外交官だったヴィレム・ボーツさんは、2015年2月から、週末ごとに道玄坂の歓楽街でのプレアウォーキング(祈りながら歩くこと)を始めた。闇の中にある日本の性産業に対して1年間祈り続けた結果、何を学んだかを、私たちに教えてくれた。

ヴィレムさんは主に性的搾取の被害者である女性たちのために祈り、また商売としてこれに関わる男性たち、客としてその産業を支える人たちのためにも祈った。日中はもちろん、夜中や明け方まで祈り続け、売春婦を含む多くの人々に出会ったという。そして彼らの状況を理解し、キリストにある希望を分かち合おうとした。二度目に再会した女性から、「あなたのことも、あなたの神様のことも覚えてるよ」と言われたこともあったそうだ。

1年以上かけ、ラブホテル、下着・性玩具ショップ、クラブの前で立ち止まって、祈りを捧げた。なかにはAV撮影が強制的に行われていると思われる店もあり、時にはそこから出てきた女性が泣きくずれ、打ちひしがれた様子だったこともあった。彼はこれらの話を教会の人身取引対策ミニストリー(*教会の中の活動グループ)に伝えた。やがて、日曜日午後の比較的静かな時間帯に、ミニストリーメンバーを連れて祈りながらそのルートを歩くリーダーになった。彼の祈りが聞かれ、性産業の事業所がいくつか閉鎖されたことがあったという。

この道玄坂を巡るルートでところどころ見られる悪のシンボルに対して祈り、また奴隷の鎖を断ち切るキリストによって被害者が解放されるようにと祈る彼の姿勢に、私はとても感動した。

ヴィレムさんは、実に91週間の連続ウォーキングを終え、南アフリカに帰国した。帰国後に自費出版した書籍『The Miracle is to Walk on the Earth(奇跡は地の上を歩くこと)』」の中で、その体験と発見をいくつか紹介している。ちなみに電子書籍版は以下のサイトより8ドルでダウンロード可能。収益は日本の宣教団体に寄付される。https://payhip.com/b/zB2w?fbclid=IwAR1KkmgFRT3qUv2Ukv7mPkW50ieEvpyjsfSrR1jaokSNcd5LrPZ4dUjFEsI

(神門バニー)

Vol.4 「平和なダイヤモンドを目指して~シエラレオネのお話」

(第11回NFSJカフェ 2018年5月18日 武蔵野プレイスにて実施)
ゲスト講師:ジョゼフ・スミスさん(ロータリー平和フェロー(当時))

2018年5⽉18⽇、ICU⼤学院に留学中のロータリー平和フェロー、ジョゼフ・スミスさんが、NFSJカフェで「平和なダイヤモンドを目指して~シエラレオネのお話」というタイトルでお話をしてくださった。

スミスさんはまず、⻄アフリカのシエラレオネという国の歴史を簡単に説明した。1990年代の10年にわたる内戦とエボラ出⾎熱*などの感染症の発⽣により、世界で最も寿命が短い国の⼀つ(2016年5⽉20⽇の国勢調査による)だという。(*WHOは2016年にエボラ出⾎熱の感染終息を宣⾔している)。

歴史の説明の中では、鉱物資源がいかに激しい紛争や搾取、⼈身売買を引き起こしたかを正確に描くものとして、内戦時代を舞台にした映画『ブラッド・ダイヤモンド』が挙げられた。スミスさんも来⽇前、鉱⼭労働者の労働条件や⼈権を守るために闘っていた。

鉱業分野で行われる虐待については、労働者の安全や福祉、あるいはよりシンプルに人間的な思いやりよりも、金銭欲が優先している、と明確に説明。残忍なシステムなのだ。しかしこの国も10年前に⺠主化され、ダイヤモンドを含む豊富な鉱物資源を活⽤した復興が進んでいることから、状況は改善されている。2018年、シエラレオネは⼤統領選挙と議会選挙を実施し、一つの政党から別の政党への平和的な政権移譲が⾏われ、⺠主化への取り組みがさらに強固になったという。

スミスさんは現在、「鉱業と環境を考えるアフリカ青年の会」(Africa Youths on Mining and Environment)の創設者兼エグゼクティブ・ディレクターを務めている。また、「Independent Social Performance」の⻄アフリカコーディネーターも務めている。(キャシー・バートンルイス)

Vol.3「だれひとり取り残さない世界と多様な性のあり方~LGBTについて学ぼう~」

(第16回NFSJカフェ 2019年4月19日 武蔵野プレイスにて実施)

ゲスト講師:佐々木真美さん(NPO法人グッド・エイジング・エールズ インターン(当時))

LGBT当事者支援団体「グッド・エイジング・エールズ」で当時インターンをしていた佐々木真美さんを、NFSJカフェの講師にお呼びしたきっかけは、以前の回で講師を務めてくれた別の方と偶然再会した際に一緒におられ、紹介されたから。そんなふうに人との出会いが不思議に紡がれていくのがNFSJカフェの面白いところだ。

佐々木さんはLGBT当事者がどんな問題に直面しているのか、社会や私たちがどうしたら寄り添っていけるのか、基本的な知識を教えてくれた。生物学的性別、性的指向(好きになる性)、性自認(自分の性別をどう考えるか)の他に、第4の「表現する性」(社会にどう見せたいか)があることを、私はこのとき初めて認識した。そしてそれらの組み合わせは何十通りもあり、むしろグラデーションで明確に区別できるわけではない、ということも……。

日本は同性婚を認めず、残念なことに3年経った今も変わらない。だが企業によっては、実生活に必要なサービス(生命保険の受取人、携帯電話の家族割、銀行の住宅ローンなど)に同性パートナーシップを認める取組みが、行政に先んじて始まっていると知り、心強く思った。

一方で、学校・家庭・共同体が多様性を認めづらい日本社会では、当事者は自らの性自認や性的指向に悩み、いじめや差別や不利益を恐れてカミングアウトが難しい。マジョリティ側の人間が、無意識に傷つけていることもある。グッド・エイジング・エールズは、楽しいイベントや広報で問題を可視化し「アライ」を増やすことで、性的少数者も共に生きやすい社会の実現を目指している。

人身取引は弱い立場につけこむ犯罪であり、差別や偏見が背景にあることも多く、LGBT当事者の被害も耳にする。このカフェで佐々木さんのお話を聞き、正しい情報を得た上で一歩前に出ることで、共に生きる社会を作っていきたい、と思った。(山岡万里子)

◆講師プロフィールなど詳しくはNFSJのウェブサイトをご参照ください。
http://notforsalejapan.org/news/201903/479

◆グッド・エイジング・エールズのウェブサイトはこちら。
https://goodagingyells.net/

Vol.2 歌舞伎町夜回りの現場から ~可視化されにくい人身取引(性的搾取)とその対策~

(第22回NFSJカフェ  2020年10月21日実施)
ゲスト講師:坂本新さん(NPO法人レスキュー・ハブ理事長)
オンライン開催

NPO法人「レスキュー・ハブ」代表の坂本新(さかもと あらた)さんを講師に招いてオンラインでのNFSJカフェを開催。坂本さんは以前にNFSJのスタッフだったこともあり、そのお人柄の真実味にも、活動の素晴らしさにも敬服しつつ、フェイスブックの投稿やメディア掲載情報など、いつも共有させていただいている。世の中には、そう簡単には真似のできないことをしている人がいる。坂本新さんもその一人だ。

日本最大の繁華街、新宿歌舞伎町。ここで一人、夜回りを続けて3年。凍える冬の寒さの夜も、熱帯夜のコロナ禍でも、サポートを必要とする人の支援のために。経済的困窮から夜の街で働くしかなくなったという女性たちの中には、学歴もあり社会的にも問題なく暮らしてきた人も少なくないとか。性的搾取やDV被害、人には相談しづらい困難を抱えているのに、自らは助けを求めようとしない。だから、根気強く夜の街を回って、カイロやクレンジングペーパー、マスクなどと連絡先を書いた相談カードを手渡すようにしている。そうやって、だんだんと顔を覚えてもらうと、公的支援機関や民間支援団体につなげることができるようになる。

坂本さん自身、最も目を背けたいのは、性的搾取や人身取引の問題だと言う。だからこそ、その問題に取り組もうと決意。坂本さんが活動の基本にしているのは、「何故あなたは…?」という問いかけではない。必要なのは、最後まで寄り添うこちら側の覚悟。そこから、やがて信頼関係が生まれて支援につながる。(ナムーラミチヨ)

◆講師プロフィールなど詳しくはNFSJのウェブサイトをご参照ください。
http://notforsalejapan.org/news/202009/807

◆坂本新さんをもっとよく知りたい方のために。

・NHKクローズアップ現代「助けて…」と言えない 路地裏に立つ女性たちhttps://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4600/   2021/10/27

・「『100人支援しても受給は1人だけ』生活保護を受けずに売春を繰り返す女性たちの本音」(PRESIDENT Onlne)2021/10/15
https://president.jp/articles/-/50899