Vol. 4『女子高生の裏社会 ~「関係性の貧困」に生きる少女たち~』

人身取引はどこで起こっているのでしょうか。答えは、もちろん世界の各地で……です。ということは、私たちの隣にもあるということ? 一般社団法人Colabo の代表として、10代の少女たちに目を向けた活動を行っている仁藤夢乃さんのこの本を読めば、その問いにうなずく他ありません。

前作の『難民高校生』(英治出版)では、家族や学校と折り合いが悪く、居場所を失った少女たちが街中で難民化する様が描かれています。本書ではその彼女たちが、「JKリフレ」(添い寝やマッサージ等)、「JKお散歩」(客との1対1のデート)等、2014年の米国務省の人身取引に関する年次報告書でも、日本の人身取引の例として指摘された「JK(女子高生)産業」で“真面目に”働く姿が記されています。

著者は、家庭や学校での居場所や関係性をたやすく失ってしまう彼らにとって、JK産業がニセの(実際には少女たちを搾取しているにもかかわらず)セーフティネットになってしまっていると指摘します。そして、彼女たちとつながりながら、安全な居場所を作るべく尽力されています。この実態を知った私たちは何をしたらよいのでしょうか。読み終えても私自身への問いかけは続きます。 (栗山のぞみ)

仁藤夢乃著/2014/光文社新書/264ページ/定価760円+税/https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334038144