Vol. 6 「The Price of Free」(映画)

インドの混み合った街中を走る男たち。ある建物に押し入り、階段を登り、鍵をこじ開けて部屋の中を捜索する。「いない!」「どこだ!」と飛び交う怒号。さらに階段を駆け上ってたどり着いた屋上に積まれた無数の袋の山。その隙間に、押しつぶされるように子どもたちが隠されていた……。

アクション映画のような幕開けの『The Price of Free』 は、8万人以上の子どもたちを奴隷労働から救い出し、2014年にノーベル平和賞を受賞したカイラシュ・サティヤルティさんの活動を紹介するドキュメンタリー映画です。

映画には、実際の救出シーンに加え、子どもたちに心とからだのケアと勉強の機会を与え、社会復帰につなげるリハビリ施設「バル・アシュラム」の様子も映し出されます。最初は怯えて泣いてばかりの子、また職場で叩かれたり、作業中に怪我をさせられたり、満足に食事を与えられなかった子どもたちが健康と笑顔を取り戻す姿には、ホッとさせられます。

一方で、この活動が常に命がけであることも映画は伝えます。潜入調査から見えてくる人身売買業者たちの暗躍、カイラシュさんや家族への脅迫、賄賂の蔓延など、救出活動を阻む力は圧倒的です。それでもカイラシュさんは「あらゆるアプローチが必要だ」と熱く語り、苦悩の中でも諦めません。

どうしたら、私たちはカイラシュさんたちと連帯することができるでしょう?  一つの方法として、映画の中で子どもたちが作っている品物に目を凝らしてみることを提案します。見終わったら、「映画の中に出てきたような商品を選んでいないか」を自問してみましょう。すると、自ずと私たちの購買行動は変わっていくはずです。カイラシュさんが映画の中で言うように「すべての子どもが自由な子ども時代を享受できるように」、今日からできることがあります。(栗山のぞみ)

【デレック・ドニーン監督/2018年/1時間27分 

YouTubeで無料視聴可(日本語字幕あり)
https://www.youtube.com/watch?v=UsqKz1hd_CY  

予告編(英語のみ)https://www.youtube.com/watch?v=S01crxKPeM0 】