第20回NFSJカフェ 「人身取引、日本でも起きてるってホントですか?」 開催報告 (2020年6月11日)

NFSJ初の公開オンラインイベントとなった、第20回NFSJカフェ。NFSJカフェは、人身取引・現代の奴隷制問題に何かしら関連するテーマをお持ちのゲストを招き、お話を聞いてディスカッションするという、少人数の学びの場、そしてメンバーと参加者の気軽な交流の場です。通常は平日夜にお茶とお菓子をつまみながら行いますが、今回はZoomを使いオンラインで開催しました。北海道、名古屋、大阪、そして海外からの参加者も加え、当日は大学生を含む32名の参加がありました。

NFSJ副代表の栗山がファシリティターを務め、代表の山岡がふだんから講演等でお話ししている内容をスライドを使って説明しました。世界中で起きている現代の奴隷労働、なぜ被害に遭うのか、その構造や仕組み、日本における性的な人身取引と労働分野の人身取引の実態、政府の取り組みと課題、そして私たちに何ができるかという提案を盛り込みました。

途中と最後に各10分ずつ、6つのグループに分かれ(ブレイクアウトセッション)、NFSJスタッフや、同分野の別NGOの方たちにリードしていただいて、フリートークの時間をもうけました。最後に、どんな話題や質問が出たかを全員でシェアしました。以下、さまざまな感想やコメントの中から一部をご紹介します。

・エシカル消費をいかにして継続していけるかが課題。「量」から「質」への転換?

・洋服をどこのどの工場で作っているかがわかるサイトがあるので、活用している。生産者の人の思いが伝わってくる。

・技能実習生に対する労働搾取は、日本の産業の根本的な構造の問題だと感じる。法律でしっかり規制できないものか。

・人身取引の問題を知ったからには伝えたいのだが、周囲の人に全く通じず悩んでいる。

・実習生が身近に働いているが、見えないところで搾取に遭っていないか気になっている。仕組み自体にモヤモヤする。

・街中に風俗産業へのバイトを勧誘する看板が堂々とあるが、いったい規制はどうなっているのか? 大人はいったいどういう感覚で見ているのか?

・バイトして仕送りしている留学生たちが近所にいる。周囲の態度ひとつで留学生の生活は良くも悪くもなりうると思うので、声をかけていきたいと思う。

・今治タオルの下請け工場での労働搾取事例などを聞くと、問題が日常的で裾野が非常に広いとあらためて実感した

山岡の方からは、「身近にいる日本人が気にかけているとわかれば、留学生・実習生もいざという時に心強いのではないか。また性的なことに関しては日本ではグレーゾーンが多すぎるが、市民の声で変わっていく部分もあるので、おかしいと思うことがあればぜひ仲間を見つけて動いてほしい。また今回は触れられなかったが、コロナ禍で人身取引・現代奴隷の状況は今後著しく悪化していくことが目に見えている。より多くの人が関心を持ち行動していただけたら嬉しいし、私たちも努力していきたい」と結びました

音声の乱れが多少あったようでご迷惑をおかけしましたが、スライドでのプレゼンはおおむね好評でした。すべての参加者と言葉を交わすことはできなかったものの、グループトークの時間を設けたことで、皆さんお互いに色々なことを学び合い感じ取っていただけたようです。

遠くからでも気軽に参加できるオンライン・イベント。リアルで集まれる日常に戻っても、たまには採り入れていきたいなと思いました。ご参加くださった皆様、どうもありがとうございました。

(*人身取引・現代の奴隷制について、広く多くの方に知っていただくことが問題の解決につながるという思いから、NFSJではお話をさせていただく機会を求めています。大学、高校、公的・民間団体、教会等、どのような集まりでも、お呼びいただければ喜んで参ります。ぜひお気軽にお問合せください。)