少し前になりますが、2月11日に開催したイベントをNFSJスタッフの栗山のぞみが報告します。この日は、未成年の性被害防止に取り組む「ゾエ・ジャパン」の秦地浩未さんを講師に迎え、「武蔵野プレイス市民活動市民活動講座」として開催しました。啓発漫画冊子『あきらめないで!』を読んでから秦地さんの講演を聞き、今何が起きているのか、そして私たちに何ができるかを参加者の皆さんと共に考えました。

⚫︎相談の9割は男の子から
講演の中で衝撃的だったのは、「性的脅迫」でゾエ・ジャパンさんのホットラインに相談を寄せるのは9割が男の子だということ。会場からの「なぜ?」という質問に対する秦地さんの考察がとても興味深かったのでご紹介します。
秦地さん曰く、「性的な写真を送れ」と脅迫する人を動かしているのは性欲ではなく支配欲。女の子は(私=NFSJ栗山の考えでは歴史的に抑圧されてきた側の性なので)、性的なものに限らず「支配される」ことに対して警戒心がある。しかし、男の子は自分は支配する側であるという意識が少なからずある。男の子は、女の子のふりをしている相手が性的な誘いをかけてくると「自分が主導権を握れるかも」と油断して、ひっかかってしまうことが多いと思われる。そして自分の性的な写真を送ってしまい、脅迫される立場になり、苦しんだ末に相談してくるのではないか、とおっしゃっていました。
これらを予防するには何よりも教育が重要で、幼いころから、性はあたたかく豊かなもの、かつプライベートな大切なものであるという文化を育てる必要がある、とのこと。日本には子ども自らが学校を掃除するなど、公共の場所をみんなで掃除してきれいに保つ文化があるので、それを思えば、同じように性を大切にする文化を根付かせるのも可能なのではないかという秦地さんの視点には、会場の皆さんも納得していました。

⚫︎「Noを言う、受け取る」トレーニングが必要?
小グループに別れてのディスカッションで、セクストーション被害をなくすためにできることとしてスタッフ(栗山)のグループで出たのは、性的な問題に発展する前段階として、「Noを言うこと」、「Noを受け取ること」(Noを言っても、言われても人格否定ではない)のトレーニングが重要なのではないか、ということ。
さらにその前にいわゆるネガティブな感情、「寂しさ」「悲しさ」「理不尽」「みじめ」「ひとりぼっち」「イライラ」「怒り」など、ふだんあまり感じたくない感情であっても、感じてないとごまかすのではなく、その扱いに慣れることが重要なのではないかと考えました。つまり、人がこのような感情を持つのは当然で、自分の心との向き合い方を学んだり、他者に内面を話して支えられたり、救われたりする経験が、学校生活や他の場面でもあるとよいのではないでしょうか。そうなれば、SNS上の希薄な人間関係に表面的な癒しを求めずに済むと思いました。
⚫︎性を自分の命の一部として大切に扱う
他のグループでは、保育園等で「プライベートゾーン」を教えるなど性の話題を「命を大切にする」という観点から伝えているという話題が出たり、一方で、性教育が家庭に任されている現状にとまどっているという声も聞かれました。

今回のイベントでは、参加者集めに武蔵野プレイスのスタッフの方も尽力してくださったのですが、寒さや雨もあってかキャンセルも相次ぎ、集まったのは20名ほど。それでも、親子で参加した10代の方なども加わり、グループトークではどのテーブルも時間がきても話が尽きないほど盛り上がっていました。
今回のテーマである「性的脅迫・セクストーション」はまだまだ耳慣れない言葉ですが、イベント当日にYahooニュースにそのものずばりの記事がでたり、認知を広げる動きもあります。まずは、性を、大切な命の一部として扱う、それは自分も相手も尊重することに通じるという当たり前を、社会の皆が共有できること。そうすればセクストーションもなくなり、その延長線上には、性被害や性的人身取引のない社会があります。そこに向けた一歩を市民の皆さんと共に刻んだ1日となりました。
