新着情報

人身取引と現代の奴隷制 ~私たちには関係ない…とは言えない4つの理由~

「人身取引と現代の奴隷制」…なんだか聞いてもピンと来ないなあ…なんか、昔の話? 遠い国で起きていること? 私とは関係ないんじゃない? って、思っていませんか?

でも本当は、私たちと大いに関係アリなんです! その理由を4つ挙げてみましょう。

7月30日は国連が定めた「人身取引反対世界デー」イラスト みなみななみ
【理由その1】人身取引は、日本でも起きているから。 ⇒詳細はこちら
外国、特にベトナム、中国、ネパール、ミャンマー、インドネシア、フィリピン、などから働きに来ている外国人技能実習生、そして留学生の多くが、日本人が就きたがらない職種で、長時間・低賃金でこき使われています。単にこき使われているだけではなく、借金にがんじがらめにされて、仕事を変えたり帰国したりできずに、ただただ耐えています。それを知っている雇い主から、いじめを受けたり暴力やセクハラを受けたり、怪我をしてもちゃんと手当してもらえなかったり、パスポートを取り上げられたり、監禁されたり、携帯電話を持つことを禁じられたりと、さまざまな人権侵害を受けています。

・今日、あなたとすれ違った外国人も、もしかしたら、そんな目に遭っている人かもしれません。

【理由その2】日本で起きている人身取引被害者の半分は、日本人だから。 ⇒詳細はこちら
実は日本で起きている人身取引問題において、今、被害者の半分は日本人です。しかも日本人の若い女性、特に大学生ぐらいの女性が非常に増えています。

・「AV出演強要」の問題を知っていますか? 今特に若い20歳前後の女性がたくさん被害に遭っています。でも、もともとあった被害が、NGOの努力と女性たちの勇気のおかげで、表面化してきたというのが正しいかもしれません。特徴は、「嘘で騙す」、つまり詐欺です。ちょっとしたアルバイトのつもりで、読者モデルとかパーツモデルとかカットモデルなどの仕事に応募したり、街で声をかけてきたスカウトに、「話を聞くだけ」と思ってついて行ってしまうと、もう断れないようにあの手この手で契約を迫ってきます。嫌だなあと思っても、長時間説得されたり、男の人何人かに囲まれたりして、契約書にサインをしてしまう。しかも学生証や保険証のコピーを取られたりして、それが後々、「親にバラすよ」「学校にバラすよ」という脅しに使われます。契約書にサインした後だと、AV出演が「仕事」だとわかってたとえ断ったとしても、何百万円、何千万円という違約金を請求すると脅されて、泣く泣くAVに出演させられることになります。相手はプロ、非常に巧妙です。

・特にAVについては、映像として残ってしまい、たとえ販売を差し止めたとしても、ネット上に流出したりコピーされたりして、永遠に被害者を苦しめることになります。

・このように、人を騙して搾取するという人身取引が行われています。やっと政府も本腰を入れて、これについては対策を始めましたが、まだまだ泣き寝入りしている人も多いはずです。

【理由その3】奴隷労働させられている人たちの作ったモノを、私たちが買っているかもしれないから。 ⇒詳細はこちら
実は海外で奴隷労働をしている人たちも、私達と関係あるのです。なぜなら、彼らが農場で作ったり鉱山で掘ったり漁船で獲ったりしているモノは、ほぼすべて、巡り巡って、先進国の私達の身近な商品として売られているからです。

・たとえば有名な例で言えば、チョコレート。チョコレートの原料であるカカオは、西アフリカのガーナとコートジボワールで世界全体の7割を作っています。その二つの国では、幼い子供たちが、学校に行く機会を奪われ、体罰や暴言に怯えながら、ほとんど賃金ももらえずに、長時間ひたすら働かされている場所があります。しかも高い高い樹に登ったり、20キロもある大きな袋を運んだり、大きな鉈(なた)で素手でカカオの殻を割ったりと、子どもにとって非常に危険な仕事をさせられています。

・あるいは、タイでは周辺国からの出稼ぎ男性たちが、騙されて漁船に乗せられ、何年も陸に帰れずに、奴隷のような状態で漁をさせられています。海に浮かんだ船の上では、逃げられない、監視の目が無い、そして抵抗したら海に放り投げるぞという脅しがきくため、どんなにひどい扱いにも耐えなければならない。そうして獲られた魚介類が、めぐりめぐって缶詰めになったり養殖エビの餌になったりして、日本や欧米に売られています。

・日本で奴隷労働させられている実習生たちは、縫製工場で働いている人も多くいます。縫製工場は特に海外の安い商品に押されて安い賃金で働いてもらわないと採算が合わないのです。だから、あなたが着ているものや使っている布製品も、もし日本製だとしても、油断はできません。

【理由その4】実は私たち一人一人が、解決のカギを握っているから。 ⇒詳細はこちら
おそらく、ここまでの話で、私たち一人一人に関係ある話なんだということが、わかっていただけたと思います。でもじゃあ、それがわかって終わりでしょうか? 今後はスカウトに気を付けよう~ぐらいしか思わないかもしれませんね。

・でも、実は私たち一人一人が解決のカギを握っているということが、無関係ではない4つ目の理由です。世界で起きている悲惨な出来事に、自分では何もできない…そう思うかもしれませんが、実はできることはたくさんあります。

・まず、これは、だれにでもできること。このことを伝えてほしいのです。人身取引や現代の奴隷制の問題があるってことを、知らない人がまだまだたくさんいます。そして知っていたとしても、自分たちにも関係あるということを知らない人がほとんどです。ですから、まずは、SNSなどで広めてください。ツイッター、Facebook、LINE、インスタグラム…。NFSJはFacebookのページ(https://www.facebook.com/notforsalejapan/)があるので、そこに「いいね!」してもらえれば、事件の記事があった場合などにシェアできますし、イベント情報も届きます。

・フェアトレードのものを買いましょう。フェアトレードのチョコやコーヒー、少し他のものより高いから毎回それは難しいかもしれない。けれども、たとえば5回に1回はフェアトレードのものにしてみるということもできますよね。あまりに安い商品があったら、あれ? これって安すぎない? 作っている人にちゃんと賃金が支払われているのかな?と考えてみてほしいのです。

・身近に、またはいつも通る道端などに、もしかしたら人身取引の被害を受けているのかな?と思える人がいたら、相談したり通報したりもできます。もし自分で通報したりするのがハードルが高かったら、NFSJにコンタクトしてください。

・本を読んでみたり(NFSJ推薦ブックリスト)、学校の授業のレポートで取り上げてみたり、映画を見てみたり、上映会を企画してみたり、講演会に行ってみたり、色々な方法でこの問題について知り、伝えてください。人身取引の問題の解決を目指しているNGOでボランティアしたり、募金したりという貢献もできます。

・そう、みんな一人一人、「微力」だけど「無力」じゃないのです。何かしらできることがあるはずなので、ぜひやってみてください。NFSJの主な活動