NFSJの企画講座『日常に潜む性の搾取から子どもと若者を守るには』(3/24)を開催しました

去る3月24日に、武蔵野生涯学習振興事業団が主催、NFSJが企画した講座『日常に潜む性の搾取から子どもと若者を守るには』が武蔵野プレイスにて開催されました。

人身取引被害者サポートセンターライトハウス事務局長の坂本新さん、世界性科学学会Youth Initiativeメンバーで国際基督教大学4年生の福田和子さんをゲストスピーカーに迎え、一般参加者40名、登壇者スタッフを合わせ50名の参加がありました。

坂本さんからは、ライトハウス相談事業の中で見えてきた、可視化されにくい性搾取の被害実態をつぶさに語っていただきました。なかでもここ数年で急増しているAV出演強要の手口は、軽いスカウトの声掛けから始まり、徐々に契約書を盾にすごまれ抵抗できなくする、本当に巧妙で執拗なものだと感じました。また、もし誰かから性的被害の相談を受けたら「相手の立場に立って」「責めたり質問攻めにしたりせずに」話を聞いてほしいという、相談事業を手掛ける団体ならではの実感のこもったアドバイスが伝えられました。

福田さんは昨年夏まで1年間スウェーデンに留学し、ジェンダー/セクシャリティの社会状況を様々に見聞きしてこられた経験から、スウェーデンでは、子どもや若者が性で傷つかないために社会にどんな仕組みがあるかを語ってくれました。なかでも「若者が、自分の心・身体・性を守れる環境が、性的に傷つく遥か手前から、日常的に整っていることが必要だ」という言葉には、多くの参加者が共感を示しました。13歳になると学校から全員が訪問する「Youth Center」では、その後プライバシー厳守の状態でどんな相談でもでき、カウンセリング、避妊具の提供、STI検査などが無料で受けられるということ等が紹介されました。

Q&Aセッションでは質問も非常にたくさん寄せられ、「適切な性教育とは、どれぐらいの年齢からどのようにすべきなのか」には、「国連機関が性教育のガイダンスを作っていて、その中では5才から話せることがある」という情報が回答され、また「もし自分の子どもが被害に遭ったらどう接すればいいのか」には、『あなたは悪くない』と言って欲しい」などの答えが挙げられました。

その後は10グループに分かれ、あらかじめ配布しておいたディスカッションシート(「参加のきっかけ」「今日聞いて印象的だったフレーズ」「私たちにできることのアイデア」を書き込む)に記入してもらった上で、自由に話し合ってもらいました。何を話していいか持て余しているようなグループは一つもなく、時間も足りないくらい、皆さん熱心にディスカッションに参加し盛り上がっていました。

最後に少しだけシェアしてもらいましたが、やはり適切な性教育が必要なのではないかという声、メディア(教育テレビなど)がもっと取り上げるべきという意見等が出て、回収したディスカッションシートからも、この機会をきっかけにして考えていきたい、働きかけていきたいという意見が多く見られました。「もっともっとお二人の話を聞きたかった」「今後もこうした機会を作って欲しい」という意見も多く寄せられ、アンケートからも、参加者の多くがこのイベントを大変高く評価してくださったことがうかがえました。

武蔵野市議3名、三鷹市議1名の参加もあり、武蔵野市議のお一人は、今後、小中学校の性教育ガイドラインの作成や、中学でのデートDV勉強会の実施などを働きかけていきたいと書いてくださり、今後の動きに期待したいと思います。

ちなみに福田さんは、「性や避妊に関して情報も相談先も選択肢も非常に限られている、このあまりに無い無いづくしの日本の現状を打破したい!」と、「#なんでないのプロジェクト」をつい最近立ち上げました。ぜひ皆さん一度覗いてみてください。
https://www.nandenaino.com/

最後になりましたが、講師のお二人、参加者の皆さん、そしてNFSJの企画を選んで助成してくださり、広報・施設利用など全面的に支援してくださった武蔵野生涯学習振興事業団と武蔵野プレイス市民活動担当の皆様に、心より感謝いたします。