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12/3(水)「フィリピン、日本、そして人身取引~2025年夏、フィリピンへのスタディツアーで私たちが持ち帰ったもの~(第37回NFSJカフェ)」開催のお知らせ

この夏、NFSJが所属する「人身売買禁止ネットワーク(JNATIP)」の運営メンバー、吉田容子・山岸素子・山岡万里子の3人が、「JFCネットワーク」主催のフィリピンへのスタディツアーに参加しました。

「JFC」とは「ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン」の略で、主に日本人の父親とフィリピン人の母親との間に生まれた子どもたちのこと。JFCネットワークは日本人の父親に遺棄された母子の支援を30年以上続けている日本の団体です。10年前にJFC母子を狙った日本での人身取引事件が大きな問題となったこともあり、JNATIPとしてもJFCの置かれた状況には長年関心を払ってきました。

ツアー日程ではJFC母子たちとの交流やホームステイ、現地支援団体のお話の他、フィリピン人元従軍慰安婦施設への訪問や元「まにら新聞」記者の話を聞く会などに参加し、またツアー終了後もJNATIPの3人で、人身取引問題に取り組むカトリック教会の組織「タリタクム・フィリピン」を訪問し、施設見学や意見交換を行いました。またマニラ市内の史跡を見学し、第二次大戦時の日本軍による攻撃と占領、その影響について学びを深めて帰国しました。

今回のNFSJカフェでは、3人がそれぞれ別の切り口で、このツアーから持ち帰った体験、学び、視点、思いを皆さまと分かち合い、フィリピンと日本、そして人身取引という問題について、しばし共に考える時間を持ちたいと思います。ぜひご参加ください。

《日時》 2025年12月3日(水)19:30~21:00 (開室19:20)
《場所》 オンライン(Zoom)
《対象》 一般・学生
《使用言語》 主に日本語 *英語話者の方も歓迎。ただし通訳はありません。
《定員》20名
《参加費》 無料
《要・申込》 下記のリンクから、参加申込のフォームにご記入ください。https://forms.gle/KQCUWKW8M61RekFGA
開始2時間前になってもZoomリンクが届かない場合はjapan@notforsalecampaign.orgまでご連絡ください。

《講演タイトルと登壇者プロフィール》
JFC母子の事案に取り組む中で見えてきた課題
吉田容子

(JNATIP 共同代表/弁護士(京都・市民共同法律事務所)/ジェンダー法学会理事) 
1985年に弁護士となり(京都弁護士会)、主に女性に対する暴力の事件や離婚等を扱っている。性暴力をめぐる法と司法の現状や家族法を中心に、法科大学院や複数の大学での授業、自治体や市民団体での講演などを行ってきた。共著の本も数冊。2003年のJNATIP結成に参加。

タリタクム・フィリピン訪問とカトリック教会の取組み
山岸素子

(移住者と連帯する全国ネットワーク事務局長/日本カトリック難民移住移動者委員会 委員)
大学卒業後、20年以上にわたり、移住女性と子どもの支援、移民・外国人に関する政策提言活動などにかかわる。移住連事務局長、カラカサン〜移住女性のためのエンパワメントセンター共同代表、日本カトリック難民移住移動者委員会委員、立教大学非常勤講師などを兼任。JNATIP運営委員。

市街戦、慰安婦、日系人~旧日本軍が残した爪痕
山岡万里子

(ノット・フォー・セール・ジャパン(NFSJ) 代表)
翻訳の仕事で人身取引問題を知り、2011年夏にNFSJを設立。講演・出張授業・イベント出展・映画上映・情報発信などを通じ、人身取引問題の啓発に取り組んでいる。また「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク(SSRC)」の共同代表幹事として、企業・消費者に対しても働きかけを行っている。JNATIP運営委員。

NFSJカフェは、人身取引・現代奴隷問題に取り組むノット・フォー・セール・ジャパンが、関心ある参加者と共に、お茶を飲みながら1つのテーマについて話したり映画を観たりする、カジュアルな学びの場です。お気軽にご参加ください。 
お問い合わせ: japan@notforsalecampaign.org

イベントチラシのダウンロードはこちらから
⇒ https://notforsalejapan.org/wp-content/uploads/2025/10/20251203-NFSJ-Cafe-No.37-Flyer-J-1.pdf

9/27(土) “NFSJ新ブックレット『「人身取引」「現代奴隷」ってなんだろう‽』を使って被害者にも加害者にもならないための第一歩を踏み出そう”(第36回NFSJカフェ)開催のお知らせ

「人身取引」「現代奴隷」という言葉は、ニュースでも耳にすることが少なく、「本当に起きているの?」と疑問に思う方もあるかもしれません。人身取引や現代奴隷は他人を搾取するあらゆる社会事象に当てはまる、少々抽象的な言葉だからです。

NFSJでは、日本そして世界で起きている人身取引・現代奴隷の問題が、いかに私たちの日常のすぐ隣りに存在し、私たちがいかに容易に被害者または加害者になりうるのかを、機会を捉えて伝えています。

今年作成した新しいブックレットも、そのためのツールの一つ。このブックレットやその他の手段を使って、どうしたら人身取引・現代奴隷の無い世界を作っていけるのか、私たちはどんな一歩を踏み出せばいいのかを、ワークショップ形式で皆さんと共に考えてみたいと思います。

「人身取引」「現代奴隷」なんて聞いたことが無いという方も、既に様々な問題意識をお持ちの方も、どなたでも大歓迎。土曜日午後のひととき、リラックスした雰囲気の中でおしゃべりしつつ、一緒に考えてみませんか?

《日時》 2025年 9月27日(土) 14:00~15:30 (開場13:45)

《場所》 東京ユニオンチャーチ2階「クラスルーム」 (Second Floor Classroom)
     東京都渋谷区神宮前 5-7-7
東京メトロ「表参道駅」A1出口より徒歩2分

《対象》 一般・学生
《使用言語》 主に日本語 *ただし英語話者の方の参加も歓迎。通訳はありません。
《定員》20名 《参加費》 無料
《要・申込》  下記のリンクから、参加申込のフォームにご記入ください。https://forms.gle/ibjKqLe6jfQXbAwF9

《ご参加の皆さまへのお願い》
事前にブックレット『「人身取引」「現代奴隷」ってなんだろう?~被害者にも加害者にもならないために~』(NFSJウェブサイト上で公開中)をご一読のうえ、ご参加ください。https://notforsalejapan.org/booklet
当日ご参加の方には、ブックレット(紙版)を1部ずつ進呈します。

《ワークショップ・ファシリテイター》 栗山のぞみ 
NFSJ副代表、フリーライター、編集者。2012年からNFSJに参加。共感的コミュニケーション(NVC)を18年ほど前から学び続けており、現在は多くの人と分かち合う活動を行っている。

*NFSJカフェは、人身取引・現代奴隷問題に取り組むノット・フォー・セール・ジャパンが、関心ある参加者と共に、お茶を飲みながら1つのテーマについて話したり映画を観たりする、カジュアルな学びの場です。お気軽にご参加ください。
《お問い合わせ》 japan@notforsalecampaign.org

イベントチラシPDF

“ポルノ視聴が若年層の脳と人間関係を破壊する!?” ドキュメント映像『Raised on Porn』上映&トークイベント(第35回NFSJカフェ)開催報告

ちょっと前のご報告になります。

去る6月21日土曜日、ウェスレーセンターの会議室をお借りして、第35回NFSJカフェ『Raised on Porn』上映&トークイベント “ポルノ視聴が若年層の脳と人間関係を破壊する!?” を開催しました。参加者は英語が母語の方も含めて18名でした(うちNFSJスタッフ5名)。

動画(約37分)は、幼いころからポルノ映像を観続けることの脳への影響、また人間関係を育む際のダメージについて心理学者や脳科学者らによる解説や各種データに、“ポルノ中毒“経験者、そのパートナーらのインタビューも織り交ぜられたもの。

視聴後は、まずは観終わった自分がどんな感情で、どんな価値観を大事にしたいのかを、ワークシートを用いてゲーム感覚で内観していただきました。例えば「怒り」や「不安」の感情があるとしても、その奥には「思いやり」や「誠実さ」を大事にしたい心があるのかもしれません。グループトークでは、各自の大事にしたいことにフォーカスしながら話し合っていただきました。

英語を母語とする方々のグループ1つと、日本語で話すグループ2つ、それぞれ5〜6人ずつで行われたディスカッションで、印象的なこととしては「(ポルノ映像を)見始めると脳が徐々に大きな刺激を求めてエスカレートすること」「(ポルノを観続けることにより)その人が望んでいる関係性との落差が生じること」などの発言がありました。

また、「ポルノによって傷つけられた経験はあるか?」という問いに対する話し合いでは、「周囲の性的な話題や態度」や「インターネットで記事を検索したときにポルノ広告が多く記事を読むのを断念した」等、身近な経験が出てきました。一方で「今日このように問われなければ、傷ついても当たり前だと思って諦めていた」という発言も。青少年をポルノから守るためにできることとしては、「この動画を勧める」、「(子どもや青少年に)あなたは大切な人だよというメッセージを送り続ける」「適切な性教育」などのアイディアも。時間が足りないぐらいテーブルごとに盛り上がっていました。

この日の参加者の中には、アダルトビデオ出演問題等で被害者支援や動画削除要請の活動をしているNPO法人ぱっぷす、セクストーションをはじめ子どもの性搾取問題に取り組んでいる一般社団法人ZOE Japanの方々もおられ、日本のアダルトビデオの問題点、子どもたちへの影響や被害予防、被害者支援の最前線についてコメントをいただきました。

盛りだくさんの90分で、終了時刻になっても参加者の皆さん同士の会話は続いていました。なお、ドキュメンタリー映像『Raised on Porn』は、YouTubeで視聴可能です。ご興味のある方はぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=hzPylqS01qU_【「字幕」で「英語」を選んだうえで、「自動翻訳」で「日本語」を選ぶと日本語字幕が出ます。】

(報告:栗山のぞみ)

Vol. 5 人身取引反対!と皆が言える社会へ~未来を見据える学生たち~

今日7月30日は、国連が定めた「人身取引反対世界デー」です。形を変えて広がり続ける人身取引という犯罪について理解を広め、被害を食い止めようと決意を新たにする日です。

NFSJでは、特に未来を見据える学生たちに希望を託し、高校や大学での授業を大事にしています。今回は、この6月、ブックレットを携えて山岡がレクチャーにうかがった青山学院高等部と国際基督教大学(ICU)高等学校の、生徒さんたち・先生から寄せられたコメントを紹介します。

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「日本人の被害や加害について周知することも大切。小難しい問題だと目を背けてしまう生徒が多いけれど、私たちが情報発信をして、同年代に伝えていきたい」

《青山学院高等部 生徒の皆さん》

Aさん:労働搾取や人身取引と言った言葉は日本では話題に上がることが少ないため、日本人の被害や、日本人による加害について周知することも大切であると思います。技能実習生やSNSを通じたロマンス詐欺など様々な形態がありますが、「日本人だから大丈夫」・「日本は安全な国」という先入観が邪魔をして国内の被害・加害状況に目を向けられない現状があるのだと思います。

Bさん:私の周りではなんとなく小難しい問題だと目を背けてしまう生徒が多数いる印象です。このような温度差や認知度の違いを狭めるためには、身近で馴染みのあるものから理解を深めさせる情報発信が必要になると感じました。そのような観点で、今回いただいたブックレットは活動に非常に有効だと思いました。

Cさん:性的な現代奴隷は本当に身近な問題で少し怖くなりました。恋は盲目というので、ノリで引っかからないように「絶対に性的な写真はあげない」ということを自分の中に刷り込ませておくことが大切だなと感じました。丁度私達はその問題に接点のある問題を扱っているので、この立場を使ってより色んな人、特に同年代の若い人たちに伝えて皆で自分たちを守りたいです。

*3月にフィリピンでのスタディツアーに参加し、児童の性的搾取の問題を知った生徒さんたちから、学びを深めるためにNFSJの話を聞ききたい、とお話の機会をいただきました。コメントは事後に寄せられた文章の一部を抜粋して掲載。

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「平易過ぎず、難しすぎず、高校生の年代に伝わりやすいブックレット。自分が手にする商品が、誰かが流す涙の上に成り立っていないかを考える機会になって欲しい」

《ICU高校 担当の先生》

NFSJのブックレットは、講演を伺った後でもあり、内容がすっと入ってくる構成に感じました。平易過ぎず、難しすぎず、高校生の年代に伝わりやすい文章と思います。

生徒たちには講演内容やこのブックレットを通して、「人身取引」や「現代奴隷」が決して遠い出来事ではないことを考えて欲しいのと同時に、自分が手にする商品や受けるサービスが、誰かが流す涙の上に成り立っていることがないかを考える機会になって欲しいと思います。

「人身取引」や「現代奴隷」の被害者にもならず、知らないうちにでも加害者になることもなく、誰もが幸せに生きるために知っておくこと、そして、自分ができることを考え始めるきっかけとしてぴったりのブックレットだと思います。

*「キリスト教週間マルチイベント」の一環でお招きいただき、約40名の生徒さんに対して授業を行いました。

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5回にわたってお伝えしてきた今回の人身取引反対世界デーキャンペーン、いかがでしたでしょうか。人身取引のない世界、人身取引にNo!と言える社会を実現するために、NFSJの新しいブックレットを活用していただくきっかけになれば、嬉しいです。

*ブックレットは無償配布していますのでお気軽に japan@notforsalecampaign.orgまでお問合せください(まとまった部数の場合はご寄付をお願いします)。またNFSJのウェブサイトではデジタル版を公開しています。ぜひご活用ください。⇒ https://notforsalejapan.org/booklet 

Vol. 4 ブックレット、こんなふうに活用されています!

今年2月にブックレットを発行してから、「まとまった部数が欲しい!」というお声がけを何件かいただきました。その中からお二人の方が、どんな風に活用したか、コメントを寄せてくださいました。

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「きれいな色に興味がそそられ、読んだらするする理解でき、みんなに配りまくりました!」
 《小澤孝江さん/NPO法人国際子ども権利センター(シーライツ)・NPO法人流山おやこ劇場》

このブックレットを見た瞬間、「わ~きれいな色!何が書いてあるんだろう?」と、興味がそそられました。題名を見て、難しいこと書いてあるんだろうなと思いましたが、美しさにまけて読み始めたら、するすると内容も理解でき、これはもう、みんなに見せるしかないと25冊取り寄せて、10代の青年から高齢者まで、配りまくりました! こういうことにあまり興味を示さない青年たちが、文字を追って読んでいる姿は、感動ものでした。

それから、NPO法人国際子ども権利センター(シーライツ)の代表理事 甲斐田万智子も30冊取り寄せて、ゼミ生たちに配布しました。シーライツでもこの小冊子で盛り上がり、活用させていただいています。

素敵でわかりやすいので、身近な人に手渡し、話題にできるブックレットですよね。これからも活用させていただきます。

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「バイトアプリひとつで人身取引に……分かりやすいイラストなので、広く読んでもらいたいです」
 《田中真奈さん/一般財団法人宗像協会(宗像財団)代表理事》

ブックレットを最初に見て、人身取引という分野がバイトアプリひとつで誘拐されて仕事をさせられてしまう現代の奴隷制度と結びつく、とても分かりやすいイラストだと思いました。広く読んでもらいたく、100部を申し込みました。

活用方法としては、難民支援に取り組む宗像財団の寄付者の方へのお礼状と一緒に送付したり、7月末に仕上がる年次報告書と一緒に送付したり、この夏のTICAD 9アフリカ開発会議のパネル展示で配布したりする予定です。

今のところ特別な感想は届いていませんが、ジワリとくるものがあるので、今後、何か財団の新しい支援に繋がれば良いなと思っています。

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コメントを寄せてくださった小澤さん、田中さん、そして既にこの冊子を配布するなど活用してくださっている皆さんに感謝いたします!

*ブックレットは無償配布していますのでお気軽に japan@notforsalecampaign.orgまでお問合せください(まとまった部数の場合はご寄付をお願いします)。またNFSJのウェブサイトではデジタル版を公開しています。ぜひご活用ください。⇒ https://notforsalejapan.org/booklet

Vol. 3 ブックレットをヒントに世界の“いま”を

 実際に起きているニュースを探してみよう

「新聞やウェブには、毎日のように人身取引や現代奴隷の話題が載っている」と言ったら、驚きますか? ブックレットの8〜11ページでは、日本でのケースやその背景を紹介していますが、実際にはどんなニュースがあるのか、自分でも検索してみましょう。

検索ワードとしては「人身取引」「人身売買」の両方を使います。「人身売買」は報道でよく使われている言葉だからです。たとえば、「人身売買」「日本」でニュース検索すると、最新の報道に絞ることができます。ヒットした記事の発信元が信頼できる新聞社や通信社か、または専門的な立場からの解説かどうかを確認しましょう。地方紙が追跡報道をしていることもありますし、弁護士ドットコムニュースなどには法的な視点からの記事もあります。

2025年7月初旬の検索例

この記事を書いているのは2025年7月4日。Yahooでニュース検索すると、「海外特殊詐欺グループが日本人を人身売買か」(FNN)、「風俗スカウトグループ摘発」(週刊プレイボーイニュース)などが出てきました。後者のような読み物記事は、主観が入りがちなので元のニュースをたどるのも大切です。「人身売買」に加えて記事の中のキーワード「アクセス(スカウトグループの名前)」で再検索すると、2025年2月25日の時事ドットコムの記事などが見つかりました。他にも、「現代の奴隷、『京都の舞妓に人権なんかない』元舞妓が再び告発」(弁護士ドットコムニュース)もありました。

「セクストーション」「グルーミング」などの比較的新しい言葉は、日本ではあまりヒットしませんが、事例がないのではなく、いまだに「人身取引」とは認識されていないからでしょう。「性的」「グルーミング」で検索して見つかるのは、国内では啓発記事が多いです。海外では人身取引の一環とされているようで、いくつかの実際の事件がヒットしました。

自分で調べて世界のいまを掴もう

数日続けて検索してみると、人身取引やそれに近い事件が実に多いことに気づきます。ニュースに「人身取引」といった表現がなくても、「この事件は人身取引では」とか「背景には、現代の奴隷制があるのでは」と読み取る力もついてきます。

ブックレットには、こうした視点のヒントとなるキーワードがたくさんあります。自ら調べて得た知識の積み重ねが、被害者にも加害者にもならないことにつながると思うのですが、いかがでしょうか? ぜひ、気になる言葉を使って、世界の“いま”を掴んでみてください。

(栗山のぞみ:NFSJ副代表/ブックレット編集協力)

*ブックレットは無償配布していますのでお気軽に japan@notforsalecampaign.orgまでお問合せください(まとまった部数の場合はご寄付をお願いします)。またNFSJのウェブサイトではデジタル版を公開しています。ぜひご活用ください。⇒ https://notforsalejapan.org/booklet  

Vol. 2 ブックレット作成過程や思い

「無関心」とは?

それは、ずばり誰も幸せじゃないっていう心のことです。むしろ陰湿な薄暗がりの闇に蔓延る邪悪な心を積極的に許すくらいの「力」が存在していて、決して「無」なんかじゃない、例えば、いじめがあっても見ないふりしているような……、「無関心」とは、そういうNGな力学が生じている困った状態だとわたしは思っています。だからわたしは仕事でもどんなときでも、「自分にも他人にも関心が有ります!」という心を表現しています。それが、わたし自身を幸せにしていると確信しているからです。

特別な印刷機で華やいだ色彩に初挑戦

さて、このN F S J発行のブックレット『「人身取引」「現代奴隷」ってなんだろう?』の印刷の色がとても美しく仕上がっていて不思議に思われた方もたくさんいらっしゃると思います。

これは、印刷といったら常識のC M Y K(青赤黄黒_いわゆる絵の具の色のかけ合わせデータ)の印刷ではなく、R G B(赤緑青の光の三原色のデータ)から印刷する特別な印刷機を使用することで、今までの常識とはずいぶんと違った明るくて色彩豊かな仕上がりになっています。惠友印刷さんにこの特別な印刷機があることを教えてもらって、初めての挑戦を試みました。

「人身取引」「現代奴隷」、こんなテーマに当然無関心でいたい人でも、この華やいだ色のブックレットなら無視できないのではと期待を込めました。「現代奴隷」、「セクストーション」などの仕掛けられた罠の入り口は、日常のウェブサイトのまさにR G Bの華やいだ色彩との地続きにあるということとも整合性を持ちつつ独特な表現ができたかなと思います。 

「人身取引」と聞いて自分には関係ないと言いきれる

物流サプライチェーンの矢印で網羅された世界地図、人身取引の流通ルートはやすやすと重なるし、どんな労働条件下で取引された物資であるのかも混然としています。

わたしは「現代奴隷」という概念が特別で限定された場所にだけ存在するものとは思っていません。日々の自分の暮らしぶりとか、自分の仕事から得る報酬のそのマネーフローにも惨めさが混ざってはいないだろうか?人間関係、労使関係は健全か?そういうことに無関心でいたならどこに幸せがあるのでしょうか。

わたしたちが被害者にも加害者にもならないために、たった16ページのささやかなブックレットですが、N F S Jだからこそできた1冊だと自負しています。

(ナムーラミチヨ:NFSJスタッフ/ブックレット編集デザイン・イラスト)

*ブックレットは無償配布していますのでお気軽に japan@notforsalecampaign.orgまでお問合せください(まとまった部数の場合はご寄付をお願いします)。またNFSJのウェブサイトではデジタル版を公開しています。ぜひご活用ください。⇒ https://notforsalejapan.org/booklet


6/21 “ポルノ視聴が若年層の脳と人間関係を破壊する!?” ドキュメント映像『Raised on Porn』上映&トークイベント(第35回NFSJカフェ)

「アダルトビデオ」「児童ポルノ」は人身取引と切っても切れない関係にあり、これまで私たちは、AV出演強要や児童の性的虐待画像(CSAM)について、出演させられる側の被害防止の観点から問題提起を行ってきました。

今回は、ポルノ映像が観る側に与える深刻なダメージについて、子どもの成長や大人になってからの他者との関係への悪影響、そしてそれが加害行為の誘因になりかねないことについて、考えてみたいと思います。

『Raised on Porn』は、性的人身取引について告発したドキュメンタリー映画『ネファリアス~売られる少女たちの叫び』と同じベンジャミン・ノロ監督(Exodus Cry)が撮影した36分の映像で、YouTubeでも公開されています。

あらためてこの映像を皆さんと共に視聴した後で、ポルノ映像が溢れかえり、年齢に関係なくほぼ誰にでもアクセスできる日本の現実について考え、どうすれば子どもや若者を守ることができるかを考えます。特に子育て中の保護者や教育・保健に携わる方々のご参加をお待ちしています。

イベントチラシPDF

《日時》 2025年 6月21日(土) 16:00~17:30
《場所》 ウェスレーセンター 204号会議室 (東京都港区南青山6-10-11)
アクセスマップ⇒ https://wesley.or.jp/about/access/
東京メトロ「表参道駅」B1出口より徒歩10分
渋谷駅より01系統都バス「青山学院中等部前」下車徒歩3分
《対象》 一般・学生(高校生以上)*特に子育て中の保護者、教育・保健に携わる方
《使用言語》 主に日本語*ただし英語話者の方の参加も歓迎。通訳はありません。
《定員》20名 《参加費》 無料
《要・申込》  下記のリンクから、参加申込のフォームにご記入ください。
  https://forms.gle/LjiyL2UMBHnpGRbv9

”Raised on Porn: The New Sex Ed”
(直訳:ポルノに育てられること:新たな性教育)
アメリカの性的人身取引と闘うNGO「Exodus Cry」制作のドキュメンタリー映像。幼い頃からポルノを見て育った男性たち、その妻やガールフレンド、心理学・脳科学などの専門家へのインタビューに再現映像を交え、ポルノ視聴が子どもに与える様々なダメージについて警告している。(Magic Lantern Pictures/2021年/アメリカ/36min.)
https://raisedonporn.com / https://www.youtube.com/watch?v=hzPylqS01qU

ディスカッション・ファシリテイター 栗山のぞみ 
NFSJ副代表、フリーライター、編集者。2012年からNFSJに参加。共感的コミュニケーション(NVC)を18年ほど前から学び続けており、現在は多くの人と分かち合う活動を行っている。

【ご参加上の注意とご案内】
 *『Raised on Porn』には公式な日本語字幕はついておらず、当日は、「英語→日本語」の自動翻訳機能を使用しての上映になります。表記や内容が必ずしもわかり易いものではありませんので、YouTubeであらかじめ視聴してからご参加いただくとよいかもしれません。
*会場内での飲食はできません。ふた付き容器入りの飲料のみ、持ち込み可能です。

NFSJカフェは、人身取引・現代奴隷問題に取り組むノット・フォー・セール・ジャパンが、関心ある参加者と共に、お茶を飲みながら1つのテーマについて話したり映画を観たりする、カジュアルな学びの場です。お気軽にご参加ください。 (会場の都合により、今回は茶菓等の提供はありません。)
お問い合わせ: japan@notforsalecampaign.org

サムネイル画像:『Raised on Porn』より©Exodus Cry

1/7 Let’s Learn More about the “Ethical Report Card of Companies” もっと知りたい!「企業のエシカル通信簿」NFSJ Café #34(第34回NFSJカフェ)

NFSJ Café #34(第34回NFSJカフェ)
Let’s Learn More about the “Ethical Report Card of Companies”
もっと知りたい!「企業のエシカル通信簿」

人身取引や現代奴隷をなくすには、企業が積極的に関わる必要があります。なぜなら奴隷労働の多くは、企業や取引先の工場や農場など、サプライチェーン上で行われているからです。

NFSJが参加している「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク(SSRC)」では、奴隷労働のような「人権」問題だけでなく、環境・平和・動物の福祉など、あらゆる問題に取り組む団体が集まって、共に「エシカルな生産と消費」(SDGs第12目標)を目指して活動しています。SSRCのプロジェクトのひとつ、「企業のエシカル通信簿」は、まさに企業を調査して、エシカルな企業活動を行っているかどうかの「成績」をつけるものです。

今回のNFSJカフェは、英語で、このエシカル通信簿のことをご紹介する企画です。「生物多様性」分野の調査を担当している専門家、野生生物保全論研究会の鈴木希理恵さんをお招きして、企業のエシカル通信簿が何を目指し、何をもたらしているのかをお伝えします。ぜひこの機会にご参加ください!

《日時》 2025年 1月7日(火)19:30~21:00
《場所》 オンライン (Zoom)
《使用言語》 英語
*通訳はありませんが、質問は日本語でもOKです。

《参加費》 無料 (要・参加申込)
《申込》
下記のリンクから参加申込のフォームにご記入ください。当日開始2時間前までに、ご登録いただいたメールアドレス宛にZoom参加用のURLをお送りいたします。
https://forms.gle/4jPYCj4bny7n97Bi8

日本語チラシダウンロード ⇒ 20250107 NFSJ Cafe No.34 Flyer (J)

「Biodiversity and an Ethical Society Linked through Shopping」
 (買い物でつながる生物多様性とエシカルな社会)
鈴木希理恵さん《認定NPO法人野生生物保全論研究会(JWCS)事務局長

日本自然保護協会元職員、1999年からJWCSでボランティアを始め、2005年からスタッフとして勤務。JWCSではワシントン条約を中心に日本の消費と世界の絶滅危惧種の問題に取り組む。“2023年にはゾウと人間のコンフリクト解消のプロジェクトのため、コンゴ共和国に行ってきました。”

「Which companies value people, as seen in
the ‘Ethical Report Card of Companies’ project?」
(「企業のエシカル通信簿」調査から見た人を大切にする企業とは)
山岡万里子 《ノット・フォー・セール・ジャパン 代表》

企業のエシカル通信簿については、こちらのサイトから各年度の結果がご覧いただけます https://cnrc.jp/works/business-ethical-rating/

NFSJカフェは、人身取引・現代奴隷問題に取り組むノット・フォー・セール・ジャパンが、関心ある参加者と共に、お茶を飲みながら1つのテーマについて話したり映画を観たりする、カジュアルな学びの場です。お気軽にご参加ください。 (コロナ禍以降、オンラインで開催しています。)

お問い合わせ: japan@notforsalecampaign.org

10/11 映画「サウンド・オブ・フリーダム」について語ろう (第33回NFSJカフェ)のお知らせ

人身取引を描いた話題作、いよいよ公開!
第33回NFSJカフェ
映画「サウンド・オブ・フリーダム」について語ろう

「児童人身売買の闇に挑んだ捜査官の実話を基にした衝撃の社会派サスペンス」として、昨年アメリカで公開後大きな話題を呼んだ映画「サウンド・オブ・フリーダム」が、9月27日(金)にいよいよ日本でも公開されます。

児童の性搾取・人身売買という社会の暗部に鋭く切り込んだ問題提起と、スリルとアクションのエンタメ性を兼ね備え、「初日興行収入No.1」「2023年全米映画興収トップ10」を記録するまでにヒットしたこの作品の公開を、NFSJは、人身取引問題を一般の方々に知っていただける良い機会だと考えています。

本作品の日本上映を盛り上げる意味でも、まず映画館で鑑賞した上で、NFSJカフェで映画の感想と人身取引の問題について一緒に語り合いませんか?

《日時》 2024年 10月11日(金)19:30~21:00
《場所》 オンライン (Zoom)

《参加費》 無料(要・参加申込)
《定員》 25名

《申込》 下記のリンクから、参加申込のフォームに ご記入ください。当日開始2時間前までに、ご登録いただいた メールアドレス宛にZoom参加用のURLをお送りいたします。https://forms.gle/UHLHYBqcDeDo7tB5A

《「サウンド・オブ・フリーダム」ストーリー》
米国土安全保障省の捜査官ティムは、性犯罪組織に誘拐された少年少女を追跡捜査していた。上司から特別に捜査許可をもらった彼は事件の温床となっている南米コロンビアに単身潜入し、ワケアリの前科者、資金提供を申し出た資産家、さらに地元警察と手を組み、大規模なおとり作戦を計画する。やがてティムは一人の人間として尊い命を救うため、自らの命をかけた壮絶な闘いに挑んでいく。
 出演:ジム・カヴィーゼル、ミラ・ソルヴィノ、ビル・キャンプ
監督:アレハンドロ・モンテベルデ
2023年/アメリカ/英語・スペイン語/131分

~ご案内とおことわり~

NFSJカフェの中での映画本編の上映はありません。映画本編をご覧になりたい方は、各自映画館にてご鑑賞の上、ご参加ください。上映館は、本作品の公式サイトにてご確認ください。
https://hark3.com/freedom/

*映画を観ていなくても、NFSJカフェにはご参加いただけます。ただし概要(あらすじ)紹介やディスカッションの中などでのネタバレは大いにありえます。あらかじめご了承ください。

*NFSJ代表の山岡が、映画パンフレットに解説文を寄稿しています。よろしかったらぜひご覧ください。

チラシPDFダウンロードはこちら⇒
20241011 NFSJ Cafe No.33 Flyer (J)

NFSJカフェは、人身取引・現代奴隷問題に取り組むノット・フォー・セール・ジャパンが、関心ある参加者と共に、お茶を飲みながら1つのテーマについて話したり映画を観たりする、カジュアルな学びの場です。お気軽にご参加ください。 (コロナ禍以降、オンラインで開催しています。)
お問い合わせ: japan@notforsalecampaign.org

*画像はすべて配給のハーク様よりご提供いただきました