Vol.1 活動のポリシーは「子どもが主役!」 ~ 甲斐田万智子さん《特定非営利活動法人 国際子ども権利センター(C-Rightsシーライツ) 代表理事》~

一昨年の2022年にシーライツ設立30周年を迎え、改めて甲斐田万智子さんの思いと、現在取り組んでいるプロジェクトについて、このキャンペーンでぜひみなさんと共有したいと思います。

きっかけは、大学時代に聴いた講演
甲斐田さんが長年力を注いでこられた子どもの権利に関わる活動のきっかけになったのは、上智大学在学中(1982年)キャンパス内での犬養道子氏の講演でした。そこで語られていた海賊に襲われた難民の子どもの話を聞き、世界中で難民となって苦しんでいる子どもたちをなんとかしたいと強く心が動かされたのです。そこで、ユニセフクラブを大学で設立し、その後日本ユニセフ協会に就職しました。また、スーザン・ジョージの本『なぜ世界の半分が飢えるのか』に影響を受け、まず先進国での意識が変わることが大事であると考え、ユニセフ協会では開発教育に携わりました。

その後、イギリスの大学院で学び、留学を終える直前の1989年に子どもの権利条約について書かれた「誰にも奪えない子どもの権利」(原題Broken Promise)という本に出会い、翻訳出版しました。その後、ブータン、インドに滞在しましたが、ストリートチルドレンに取り組むNGOが、子どもを「権利の主体」としてエンパワーする実践から多くを学びました。それで、大学時代の仲間たちが中心となって、大阪で設立したシーライツに1996年に入職しました。

日本人がカンボジアで子どもの性を買っている!
2001年12月横浜で「第2回子どもの商業的性的搾取(CSEC=シーセック)に反対する世界会議」が開催され、そこで、甲斐田さんは性的搾取されたカンボジアの女の子に会い、また、日本人が子どもたちの弱みにつけこんで子どもの性を買っていることに憤りを感じました。

そのため甲斐田さんは、カンボジアで子どもの性的搾取をなくす活動に2004年から4年間カンボジアに住みながら携わります。先進国のチャイルド・セックス・ツーリストたち(加害者)から子どもを守るために子どもたちを危ない出稼ぎに行かせないように啓発活動を始めました。その後、ベトナムに物乞いに行く子どもたちがたくさんいることを知り、物乞い村と呼ばれる地域に絞って2012年から2023年5月まで人身売買・児童労働防止活動をしていたそうです。

子どもにも「NOと言う権利」があることを知らせたい
2010年にタイから帰国して甲斐田さんが驚いたのは、日本では「子どもに権利を教えるとわがままな子になる」という考え方がいまだに根強くあることでした。個性を認めない学校の校則、だれにも相談できないヤングケアラー、性被害に遭って泣き寝入りする子どもやイヤなことにNOと言えない子どもたち。子どもの権利を知らせて相談したり、NOと言ったりする権利があることを知らせたいと思いました。

それで、大学のゼミ生とともに制作した『世界の子ども権利かるた』(合同出版2022年)には、「相談してほしい」「NOと言える権利があるよ」というメッセージを含めました。そしてプライベートゾーンを他人に触られない権利も「さわらないで ここは私の大切なところ」とかるたに表現しました。

子どもたちは遊びをとおして、身近にある問題が権利に関することだったと気づくようです。そして、子どももオリジナルかるたをつくることで、おとなに感じるモヤモヤを子どもの言い分として素直に表現しています。たとえば、「おこるときにきつくいわれると 心のしんからきずつくよ」「ぼう力反対。された人がわになってみて」と書いた子どもがいるそうです。現在、シーライツの活動にもっとも大事な取り組みの骨子になっています。

このほか、甲斐田さんは自治体や教育委員会、校長会などで「「こども基本法」を活かして子どもの声を聞こう」とアピールする講演も数多く行っています。ぜひみなさん、子どもの声を聞けるチャンスを作りましょう! (ナムーラミチヨ)

シーライツの公式ホームページ http://www.c-rights.org
Facebookページ https://www.facebook.com/crightstokyo
『世界の子ども権利かるた』(合同出版)
『きみがきみらしく生きるための子どもの権利』(KADOKAWA)
『世界中の子どもの権利をまもる30の方法』(合同出版)