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3/17 消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク(SSRC)「企業のエシカル通信簿結果発表会」のお知らせ

NFSJが参加している「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク(SSRC)」では、企業に持続可能な生産を促し、社会にエシカル消費を推進するために、毎年「企業のエシカル通信簿」プロジェクトを実施しています。

来たる3月17日(金)には都内にて今年の調査結果(対象:加工食品メーカー大手10社)の発表会を開催します。NFSJは特に「人権・労働」分野についての調査に関わっています。直前のお知らせになってしまいましたが、ぜひご参加ください。

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消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク(SSRC)主催
2022年度「企業のエシカル通信簿」結果発表会 ~加工食品メーカー~

《日時》2023年3月17日(金) 13:00~15:30(開場12:30)
《会場》千代田区立日比谷図書文化館 B1F 日比谷コンベンションホール(大ホール)
《参加費》 無料(要・申込)

“環境、人権、平和、動物。持続可能な社会を実現するために選ぶべき、エシカルな企業とは?”

今、私たちが暮らしているのは持続可能な世界でしょうか? 気候変動による自然災害、生態系の破壊、戦争、貧困、格差など、多くの問題が山積していることを、皆さんも実感しておられるのではないでしょうか。

私たちSSRCは、様々な課題を解決するために「エシカル消費」を推進し、同時に、産業界に対してもエシカルな取り組みを求めるために、「企業のエシカル通信簿」のプロジェクトを行っています。消費者にとって身近な製造業・小売業・サービス業等の企業が、持続可能な社会をつくるために努力をしているのかいないのかを、私たちが重要だと考える観点から調べて、毎年発表しているものです。

多様な分野の市民活動団体による調査結果は、企業の皆さまとも真摯な対話を重ねながら出したものです。今年度は加工食品メーカー大手10社について評価結果を発表し、様々な分野における最新の情報と、企業に求めたい事柄等を報告します。

SDGs、ESGに関心をお持ちの企業の方、学生・一般の皆さまに、ぜひご参加いただきたくご案内いたします。

ver.4(両面)企業のエシカル通信簿2022 結果発表会チラシ

《プログラム概要(予定)》
・私たちが「エシカル通信簿」をつくる理由
・2022年度「企業のエシカル通信簿」結果発表
・各分野ごとの結果分析・考察および情報提供
~サステナビリティ体制/消費者の保護・支援/人権・労働/社会・社会貢献/平和・非暴力/アニマルウェルフェア/環境(環境ガバナンス/気候変動/ごみ削減/生物多様性/化学物質/水)~
・識者からのコメント (大阪大学教授 伊藤武志氏 他)
・質疑応答

《申込》
参加をご希望の方は下記のフォームよりお申込み下さい。
〔〆切 3/16(木) または定員180名に達するまで。〕
https://forms.gle/t5qoio4yN7bWzNnv6

フォームを利用できない方は、下記メールアドレスまたはFAX にお名前、ご所属、連絡先(電話、アドレス)を添えてお申し込みください。メールの件名は 「エシカル通信簿結果発表会申込」 としてください。
メール ssrc@kankyoshimin.org   FAX 075-211-3531  環境市民(SSRC事務局)

《会場へのアクセス》
千代田区立日比谷図書文化館 B1F日比谷コンベンションホール (大ホール)
東京都千代田区日比谷公園1-4

・東京メトロ 丸の内線・日比谷線「霞ケ関駅」B2出口より徒歩約3分
・東京メトロ 千代田線「霞ケ関駅」C4出口より徒歩約3分
・都営地下鉄 三田線「内幸町駅」A7出口より徒歩約3分
・JR「新橋駅」日比谷口より徒歩約10分
*駐車場・駐輪場はありません。公共交通機関をご利用ください。

《「企業のエシカル通信簿」とは》
「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク」(SSRC)が、各参加団体の専門性を生かし、環境・人権・アニマルウェルフェアなど7つの大項目についての調査票を作成し、公開情報をもとに採点して企業のエシカル度を調査・レイティングしたもの。6年目の今回は、加工食品メーカーの大手計10社を対象に調査。発表前に各企業に調査結果を送付し内容を確認していただいている。加工食品・アパレル(2016年度) 化粧品・宅配・コンビニ(2017)家電・外食(2018)飲料メーカー・カフェチェーン(2019) スーパーマーケット(2021) の結果も公開中。https://cnrc.jp/works/business-ethical-rating/

*2021年度の結果発表会(オンライン)のYouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=HFmurMdCSZ4
*2021年度の結果より「グラフで見る!スーパーマーケットの企業のエシカル通信簿」https://cnrc.jp/works/business-ethical-rating/graph-5/

《消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク(SSRC)とは》
2016年1月発足。環境・人権・消費者・アニマルウェルフェアなどの多様な分野を専門にする北海道から沖縄まで38の市民団体が参画し、企業調査や情報発信、セミナーの開催等を行っている。*SSRC ウェブサイト  http://cnrc.jp/
*FBページ https://www.facebook.com/cnrc.jp/
*エシカル商品検索サイト「ぐりちょ」 https://guricho.net/

《主催》消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク(SSRC)

2/4・2/23 人身売買禁止ネットワーク(JNATIP)連続オンラインセミナー&座談会「人身取引のない社会をつくる! 〜私たちの意識が法律、制度をつくる〜」開催のお知らせ

2月4日(土)と2月23日(木/祝)に開催される人身売買禁止ネットワーク(JNATIP)のイベントのお知らせです。

NFSJは10年前からJNATIP中心メンバーの一つとして活動してきており、今回のオンラインセミナーでも企画運営を担っています。以下の詳細をご覧くださり、ぜひふるってご参加ください。

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2023 JNATIP 連続オンラインセミナー&座談会
「人身取引のない社会をつくる! 〜私たちの意識が法律、制度をつくる〜」https://www.jnatip.net/event

*チラシダウンロードはこちら

2022年は、性搾取に関わる法律が2つ制定されたり、技能実習制度は人権侵害につながると法務大臣が発言したり、人身取引に関わる制度に注目が集まり、改革の動きが一歩進んだ年でした。ただし、法律があっても制度が変わっても、それを運用する社会、私たちの意識と行動が変わらなければ、実際の人身取引被害はなくなりません。いま、私たちはどのような意識を持って、この問題を見つめていけばよいのでしょうか。現場の声に耳を傾けてみませんか。

■第1回 2月4日(土)14:00-16:00
「性暴力・性搾取のない社会に向かって 〜女性支援新法の役割、現場からの声〜」

「人身取引と法律」
吉田容子〔JNATIP 共同代表/弁護士(京都・市民共同法律事務所)/ジェンダー法学会 理事〕

「可視化されにくい性的搾取の現状と課題」
坂本 新〔特定非営利活動法人レスキュー・ハブ 理事長〕

「女性支援新法施行に向けて ~婦人保護施設はどう変わるのか、どう変わろうとするのか〜」
熊谷真弓〔社会福祉法人慈愛会慈愛寮 施設長/精神保健福祉士〕

■第2回 2月23日(木•祝)14:00-16:00
「技能実習制度廃止の先には…外国人労働者とともに歩む社会を!」

「奴隷労働根絶は民主主義の約束」
鳥井一平〔JNATIP 共同代表/移住者と連帯する全国ネットワーク共同代表理事/外国人技能実習生権利ネットワーク事務局/全統一労働組合 特別執行委員〕

「技能実習制度は持続可能か 〜ローテーション政策の限界〜」
旗手 明〔自由人権協会 理事/移住者と連帯する全国ネットワーク運営委員/外国人技能実習生権利ネットワーク事務局〕

【定員】各回100名(先着順/定員に達した場合〆切)

【申込〆切】各回開催日の前日(第1回:2/3 第2回:2/22)

【お問い合わせ】 人身売買禁止ネットワーク(JNATIP)
info@jnatip.net  03-3837-2316

【申込】
以下のフォームにて、あらかじめお申し込み下さい。お申し込みの方に開始2時間前までにアクセスURL(Zoomリンク)をお知らせします。https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSecwV6ukKiAuEjZwAkt3XWHVGnF9HMk2_lgxnVUHwQr41ZXOg/viewform

【講師プロフィール】

◆吉田容子
JNATIP 共同代表/ 弁護士(京都・市民共同法律事務所)/ジェンダー法学会 理事
1985年に弁護士となり(京都弁護士会)、主に女性に対する暴力の事件や離婚等を扱っている。性暴力をめぐる法と司法の現状や家族法を中心に、法科大学院や複数の大学での授業、自治体や市民団体での講演などを行ってきた。共著の本も数冊。2003年のJNATIP結成に参加。

◆坂本 新
特定非営利活動法人レスキュー・ハブ 理事長
民間警備会社勤務時、中南米、ロシア等の日本大使館にて警備・防諜業務に10年従事。性的搾取被害にあう女性や子どもの安全対策の必要を痛感。2013年に国際NGOへ転職、2020年4月より現職。繁華街でのアウトリーチ活動を通し、直接支援の提供ならびに行政機関等への政策提言を行っている。

◆熊谷真弓
社会福祉法人慈愛会慈愛寮 施設長/精神保健福祉士
障害者総合支援法事業所、グループホーム、母子生活支援施設、女性単身更生施設での働きを経て、2016年7月より現職。性差別克服の視点から教育/福祉/医療をつなぐことを仕事の軸としている。 

◆鳥井一平
JNATIP 共同代表/移住者と連帯する全国ネットワーク共同代表理事/外国人技能実習生権利ネットワーク事務局/全統一労働組合 特別執行委員
1992年全統一労働組合外国人労働者分会結成。93年、 初の「外国人春闘」を組織化。以降、移住労働者の労働問題、人権問題に取り組む。97年の移住連結成に参加。2005年には 「岐阜行動」を展開し、「時給300円」、「強制帰国」に象徴される研修生・技能実習生の人身売買・奴隷労働構造の実態を社会に訴える。入管法改正や外国人技能実習法の国会審議において参考人として 意見陳述。2013年アメリカ国務省TIPヒーロー受賞。著書に『国家と移民~外国人労働者と日本の未来~』集英社新書(2020)。

◆旗手 明
自由人権協会 理事/移住者と連帯する全国ネットワーク運営委員/外国人技能実習生権利ネットワーク事務局
1999年より技能実習制度の課題に取り組んできた。ケースワークや政策提言のほか、外国人労働者政策に関わる論稿を数多く発表し、2016年の技能実習法案審議の際は、参議院法務委員会の参考人として意見を述べた。 近共著に、『開かれた移民社会へ』(別冊「環」24号、2019年)、『労働相談事例集改訂3版』(労働教育センター、2020年)、『アンダーコロナの移民たち』(明石書店、2021年)などがある。

 

 

12/26〔英語開催〕第29回NFSJカフェ 「知りたい!大きく変わりつつある女性の支援に関する3つの法律」

第29回NFSJカフェ 
「知りたい!大きく変わりつつある女性の支援に関する3つの法律」

今年私たちは、日本の女性保護支援に関するいくつかの法成立・法改正の動きを目にしてきました。その中には、長年、女性支援団体が訴えてきた法改正の要請に答えるものもあれば、あることをきっかけに、危機感を共有した支援団体と議員が迅速に動いて成立したものもあります。

日本語話者であってもなかなか理解が追い付かないそれらの動きについて、今回はNFSJのスタッフがリサーチを行い、関心ある方々に向けて英語でお伝えします。

日本でもようやく動き出した、女性に関するこの重要な法的変化を多くの方が知り、携わっている方々や団体をますます応援できるようにという、願いをこめての開催です。年末のお忙しい時期ではありますが、ご参加をお待ちしております。

《日時》2022年12月26日(月)19:00~20:30

《場所》オンライン開催 (Zoom)

《参加費》無料   *要・参加申込

《使用言語》英語

《申込》
下記のリンクから、参加申込のフォームにご記入ください。
当日開始2時間前までに、ご登録いただいたメールアドレス宛にZoom参加用の
URLをお送りいたします。
https://forms.gle/XtrsMPqki3bC8WdA8

《プログラム》
「AV出演被害防止・救済法」
「困難女性支援新法」
性交同意年齢引き上げを含む「刑法改正」
質疑応答・ディスカッション

《講師》NFSJスタッフメンバー

NFSJカフェは、人身取引・現代奴隷問題に取り組むノット・フォー・セール・ジャパンが、関心ある参加者と共に、お茶を飲みながら1つのテーマについて話したり映画を観たりする、カジュアルな学びの場です。お気軽にご参加ください。 (新型コロナウィルス対策のため、当面オンラインで開催しています。)
お問い合わせ: japan@notforsalecampaign.org

チラシダウンロードはこちら⇒ 20221226 NFSJ Cafe #29 Flyer (J)

NFSJ 人身取引反対世界デー・キャンペーン2022 ~NFSJカフェを振り返る~(2022年7月30日~8月30日)

7月30日の人身取引反対世界デーにちなんで、NFSJでは毎年、オンラインでの啓発キャンペーンを行っています。

今年は、これまで28回開催してきたNFSJカフェのうち、特に印象深かった回を選んで、スタッフ7人で手分けして短い報告記事を作成。この1カ月で10本の記事を本ウェブサイトに掲載し、SNSでシェアしてきました。

「NFSJカフェを振り返る」
http://notforsalejapan.org/looking-back-at-nfsj-cafes

NFSJカフェは、人身取引・現代奴隷制のあらゆる側面、またはその周辺に存在する様々なイッシューを取り上げてきました。今回レポートとして取り上げた内容も、歌舞伎町の夜回りや道玄坂のナイトウォークから、LGBTや入管問題、性風俗や性的同意、そして鉱山やシーフードなど産業とのつながりまで、多岐にわたります。

少しでも興味の引かれた話題があったら、ぜひ読んでみてくださいね。

*「私たちがNFSJカフェを開く理由」については、こちら
http://notforsalejapan.org/nfsj-cafes/202207/974

*NFSJカフェの過去の開催リストはこちら
http://notforsalejapan.org/wp-content/uploads/2022/07/NFSJ-Cafe-List.pdf

Vol.10 「すべての根底にある『性的同意』問題〜性的搾取被害者支援の最前線で思うこと」

(第24回NFSJカフェ 2021年6月23日オンラインにて実施)
ゲスト講師:岡恵さん(NPO法人ぱっぷす相談員)

NPO法人ぱっぷすはNFSJも参加しているJNATIP(人身売買禁止ネットワーク)のメンバーで、岡さんは運営委員の一員だ。JNATIPでは毎年政府関係省庁との意見交換会を行っており、事前に政府に対し様々な質問や要請を提出する。ある年、岡さんの準備を私(栗山)がお手伝いさせていただく機会があった。その時に岡さんがつぶやいた「とにかく性的同意が問題の根本なんだよね」という言葉をきっかけに、このNFSJカフェが実現した。

当日は冒頭から「体の自己決定」「バウンダリー」「性的同意」等のキーワードが並んだ。子どもも大人も自分の体をどう扱うかは自分で決める「体の自己決定」権を持っている。自分自身が心地よいと思う人との距離、境界線(バウンダリー)も自分で決めていい、と説明された。

またむやみに人には見せない、触らせないプラベートゾーンがあり、触れられそうになったら「嫌!」と意思表示をしていいことも。ぱっぷすに相談を寄せる被害者の多くがこれらを知らないという。

ディスカッションでは「私たちも教えられてはいないし、知らない」「性教育以前の問題。自分の体を大切にすることを幼少時から伝えていくことが重要」等の意見が出た。

性的同意に関して、私が理解した重要なポイントは…

・性的同意は対等な関係で結ばれるもの。親子、先生と生徒など不均衡な力関係のもとでは成り立ちにくい。アダルトビデオ出演などの契約関係、金銭の授受が存在する場面では、関係が対等ではないので性的同意はない。

・性的同意は毎回確認されるべきもの。過去に同意したとしても、今イヤならNoと言ってよく、その意思は尊重されるべき。写真やビデオ等は撮影時だけでなく、視聴時も撮影者と被写体の間で毎回同意確認が必要となる。しかしそれは現実ではほぼありえないので、画像・映像等では性的同意は成り立たない。

なるほど! と腑に落ちた。

つまり商業的なものはもちろん私的な撮影でも、性的画像、映像ではそもそも性的同意がなく、成り立たない。性的に搾取しない・されない社会をつくるには、性的同意のこの概念が広く知られることと、いつでもNoと言えばそれが尊重される”常識”が必要だ。

もう一つ心に残ったのは、「日頃から社会がどのようなメッセージを若い世代に送っているかが重要」というもの。自己責任を強調する社会の風潮は、被害者に「自分が悪い」と思わせ、悩みを相談しにくくさせる。

あなたは絶対に悪くない。後になって「本当に嫌だった!」と気づいたのだから、気づいた今から相談していい。対価を受け取っていたとしても関係ない。まずは相談しよう! これは、私たちNFSJもしっかりと発信していきたいメッセージだ。

(栗山のぞみ)

*NPO法人「ぱっぷす」のウェブサイト
https://www.paps.jp/

*AV出演被害防止・救済法施行(2022年6月23日)について
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/avjk/index.html

*JNATIPのオンラインセミナーの動画
2020年夏の第1回セミナーに岡恵さんが、また2021年冬の第1回セミナーにぱっぷす理事長の金尻カズナさんがそれぞれ登壇され、デジタル性暴力等について語っている。https://www.jnatip.net/videos

*岡さんの詳しいプロフィールなどは、このイベント(第24回NFSJカフェ)の告知ページへ
http://notforsalejapan.org/news/202105/853

Vol.9 「外国人入国者の現実~入国管理センター訪問を通して~」

(第21回NFSJカフェ 2020年8月6日オンラインにて実施)
ゲスト講師:
アレックス・イーズリーさん(東京バプテスト教会・入管施設ミニストリーのリーダー)、
トーマス・アッシュさん(ジャーナリスト、映画製作者、聖オルバン教会会員)

コロナ禍以前は、家族に仕送りをするための出稼ぎなど、さまざまな理由で多くの外国人が来日していた。労働力の高齢化が進む日本において、彼らはこの国の経済を支える貴重な存在だ。また、政治的その他の迫害から逃れてきた難民や亡命希望者もいる。この2つのグループの中には、日本各地の入国管理局収容施設に不当に収容され、時には非人道的な扱いに耐えている人たちもいる。

移住労働者と難民は人権侵害を受けやすく、人身取引とも密接な関係がある。私自身がファシリテイタ―を務めたこの回のNFSJカフェでは、アレックス・イーズリーさんとトーマス・アッシュさんを招き、二人が何年もかけて収容施設に通って被収容者の男性たちを訪問し、支援してきた体験を聞くことができた。

訪問者は一度に30分の面会が許されており、一日に最大5人の人に面会することもあるとのこと。(私も一度品川のセンターに行き、2人の女性を訪問したことがある)。被収容者一人一人が固有のストーリーを持っているので、まず耳を傾け、次回来るときに何を持っていけばいいかを尋ね、イエス・キリストの愛を示し、分かち合う。

拘束された理由、ひどい環境、孤独など、心が痛むような話も多い。不当な入管政策に翻弄されるこれらの男性たちを支援する二人の献身的な姿に、カフェの参加者は皆、感動していた。

トーマスが制作したドキュメンタリー映画「Ushiku」は、現在日本全国で上映されている。「茨城県牛久市にある入国管理センターに長期収容されている外国籍の人々に取材し、権力による人権蹂躙を詳らかにする。権力の暴走に警鐘を鳴らす告発映画。」(山形国際ドキュメンタリー映画祭2021)。

ぜひ予告編と記事を見てから、ご覧ください! https://www.ushikufilm.com/

9月9日より東京でも再上映されるとのこと。https://www.ushikufilm.com/theaters/

(神門バニー)

第21回NFSJカフェのアナウンスページはこちら

Vol.8 「『海の奴隷制』と日本のつながり~私が食べているこの魚は大丈夫?~」

(第28回NFSJカフェ 2022年5月27日オンラインにて実施)
ゲスト講師:小園杏珠さん(認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ)

認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウのビジネスと人権プロジェクト担当の小園杏珠(こぞのあんじゅ)さんを講師に迎え、オンラインでNFSJカフェを開催。海外の漁場で起きている奴隷労働、そして日本の関与についてお話しいただいた。

2018年製作の映画「ゴースト・フリート〜知られざるシーフード産業の闇〜」は、インドネシアの漁船で奴隷として働かされている男性たちの現状と、そこから助け出そうとしているタイ人女性の活動家についてのノンフィクションである。この映画の公開に先立ち、今回のNFSJカフェでこの問題を取り上げることにした。多くの被害者たちは田舎から誘われ、逃げ道のない虐待的な環境に閉じ込められている。違法に、もしくは奴隷を使って漁獲された魚が日本でも知られることなく購買され消費されていることを、小園さんが説明してくれた。

伝統的に日に一回は魚を食べる日本人は、国内外で魚を多く消費している。しかし製品の裏にある闇の産業は全く知られていない。日本は海産物の輸入が世界で三番目に多く、輸入されている魚の24~36%が違法に水揚げされた魚だと言われている。違法に獲られた魚や奴隷が使われている場合はIUU (Illegal (違法), Unregulated (無規制), Unreported (無報告))漁業 とも呼ばれる。参加者も皆この数値やスーパーでIUU漁業による魚が加工され他の製品となって売られている現実に驚いた。

いくつかの国や組織は法律や規則を作り、自分たちの領域や所属する国々で確実に実行するよう努めている。欧州連合(EU)と国連の食糧農業機関(FAO)だ。日本は FAO によってつくられた寄港国措置協定(PSMA)の一員で、海洋管理協議会(MSC)と水産養殖管理協議会(ASC)の認証などを使っている。このような協定により、無報酬で強制労働を強いられている人々の人権を守り、責任を持って自分たちの購入している魚がどこから来ているのかを知ることができる。

小園さんは最後に、私たちがどのようにこの問題に立ち向かえるのか、お話ししてくれた。まず日本における違法漁業の実態を知り、漁業での奴隷労働について人に知らせること、そして、違法漁業やそこで行われている奴隷労働を止める活動を行っている団体を支援することだ。
(ウィルソン恵み)

・ゲストのプロフィールなど詳しくはこちら

・ヒューマンライツ・ナウによる日本の水産業関連会社に対するアンケート調査結果報告書 https://hrn.or.jp/news/21115/

・ヒューマンライツ・ナウによるIUU漁業問題に関するページ https://hrn.or.jp/news/21586/

・映画『ゴースト・フリート~知られざるシーフード産業の闇』 https://unitedpeople.jp/ghost/

・映像『タイ:海の奴隷制~無法の海域 (Thailand: Sea Slavery~The Outlaw Ocean)』(日本語字幕つき14分)【NFSJ YouTubeチャンネル】 https://www.youtube.com/watch?v=D1nk16IXXCc

 

Vol.7 「留学生が見たニッポンの性風俗産業〜ドキュメンタリー『Beyond the Yellow Line黄ら黄ら』上映会」

(第17回NFSJカフェ  2019年6月13日 武蔵野プレイスにて開催)
ゲスト講師: 小川モンゴメリー花子さん、テシ・リッゾーリさん(上智大学生=当時)

この日のNFSJカフェは、ドキュメンタリー『Beyond the Yellow Line黄ら黄ら』の上映会を武蔵野プレイスに於いて開催。制作者の小川モンゴメリー花子さんとテシ・リッゾーリさんをお迎えして、上映後の質疑応答では、アメリカやイタリアでの性風俗、娼婦たちの様子も伝えてもらい、参加者の戸惑いや問題意識についての意見交換など、非常に有意義な時間を持つことができた。

上映作品は、歌舞伎町など性風俗界隈での取材インタビューで構成されている。留学生たちの問いかけに、誰も彼も屈託なく、正当性を説くように答えている。その様子には感心してしまったが、きっと、外国籍の若い女性たちの研究取材だからなのだろう。日本人どうしではこうはいかない。警戒心だとか羞恥心も邪魔して、適当に誤魔化すような答え方になるはずだ。自分の国の、そしてまた自分の恥ずかしい部分は誰でも知っていて、できればそこに触れてもらいたくないものだ。

上映後の参加者たちの意見交換では、「このような性風俗の実態を見せるだけの作品を、ノット・フォー・セール・ジャパンが取りあげるということは、つまり、これを是認しているということか?」という質問も出た。しかし、「こういった性風俗産業の問題で、最悪なのは無関心。無関心とは、否定でないばかりか、むしろ肯定していることにもなる」と、人身取引被害者の救出などに尽力している方の力のこもった意見もあって、今回のNFSJカフェでの上映会に、大いに意味を見出すことができた。

留学生たちの視点で捉えてこそ実現できた、日本の性風俗産業における人々の赤裸々な実態。これをまず見て知ることは、無関心の扉を開いて、問題を考えるための大きなステップになるはず。YouTubeで誰でも見ることができるので、ぜひ見て欲しい。
(ナムーラミチヨ)

『Beyond the Yellow Line黄ら黄ら』(全編)
https://www.youtube.com/watch?v=-q8TcvGXePo&t=1786s

・ゲストのお二人のプロフィール(当時)など詳しくはこちら
http://notforsalejapan.org/news/201905/538

Vol.6 「現代の奴隷制~隠れた問題をどう測るか~」

(第26回NFSJカフェ  2022年1月19日 オンラインにて実施)

今なお世界にはびこる現代奴隷という問題に企業などの組織が戦い対処していくためには、国ごとの、また世界の最新データと情報を得た上で、対策を立てていくことが不可欠だ。けれども、現代奴隷制はその隠れた性質上、信頼できるデータの収集が非常に難しい。

この課題に応えるため、ウォークフリーは、社会調査の手法と先進技術を組み合わせ、「世界奴隷指標(GSI)」の仕組みを開発した。GSIは産業や国を超えて存在する現代の奴隷制を詳細に把握し、各国政府がどのような対策を行っているかを分析するものだ。

2022年1月19日、第26回NFSJカフェにおいて、ウォークフリーのブリタニー・クァイさんとエリー・ウィリアムズさんがGSIについて発表してくれた。お二人の発表によって、参加者は、現代奴隷制が今世界中でいかに蔓延しているかを理解することができた。

ウォークフリーによれば、現代奴隷制の中に囚われている人は世界で約4,030万人にのぼるという。もちろんこの数字は推定値に過ぎない。奴隷制に囚われている人の多くは隠されており、またその状況が危険であることから、実態は未だにほとんどが知られていないのだ。

ウォークフリーのような組織がこのような調査を行うことに尽力し、反奴隷制の取組みに役立つツールやデータを作成していることを知り、大いに勇気づけられる思いだった。なお、前回のGSIは2018年に発表され、2022年の指数は2022年中に発表される予定。
(ランドララ “ダラ”・ラコトマララ)

・ゲストのお二人のプロフィールなど詳しくはこちら
http://notforsalejapan.org/news/202112/896

・世界奴隷推計(Global Slavery Index)そのほか、ウォークフリーによって書かれた最新のレポートなどはこちら(英語) https://www.globalslaveryindex.org

・GSIのうち日本に関する国別データおよび国別研究(英語)はこちら
https://www.globalslaveryindex.org/2018/data/country-data/japan/
https://www.globalslaveryindex.org/2018/findings/country-studies/japan/

・上記日本に関する国別データ(一部)と国別研究(全文)のNFSJによる日本語試訳はこちら http://notforsalejapan.org/wp-content/uploads/2018/08/Global-Slavery-Index-2018-%E5%92%8C%E8%A8%B3-1.pdf

 

 

 

Vol.5「ヴィレム・ボーツさんのお話を聞こう~道玄坂ナイトウォーキングから見えてきたもの~」

(第4回NFSJカフェ  2016年3月21日 武蔵野プレイスにて実施)

在東京南アフリカ大使館の外交官だったヴィレム・ボーツさんは、2015年2月から、週末ごとに道玄坂の歓楽街でのプレアウォーキング(祈りながら歩くこと)を始めた。闇の中にある日本の性産業に対して1年間祈り続けた結果、何を学んだかを、私たちに教えてくれた。

ヴィレムさんは主に性的搾取の被害者である女性たちのために祈り、また商売としてこれに関わる男性たち、客としてその産業を支える人たちのためにも祈った。日中はもちろん、夜中や明け方まで祈り続け、売春婦を含む多くの人々に出会ったという。そして彼らの状況を理解し、キリストにある希望を分かち合おうとした。二度目に再会した女性から、「あなたのことも、あなたの神様のことも覚えてるよ」と言われたこともあったそうだ。

1年以上かけ、ラブホテル、下着・性玩具ショップ、クラブの前で立ち止まって、祈りを捧げた。なかにはAV撮影が強制的に行われていると思われる店もあり、時にはそこから出てきた女性が泣きくずれ、打ちひしがれた様子だったこともあった。彼はこれらの話を教会の人身取引対策ミニストリー(*教会の中の活動グループ)に伝えた。やがて、日曜日午後の比較的静かな時間帯に、ミニストリーメンバーを連れて祈りながらそのルートを歩くリーダーになった。彼の祈りが聞かれ、性産業の事業所がいくつか閉鎖されたことがあったという。

この道玄坂を巡るルートでところどころ見られる悪のシンボルに対して祈り、また奴隷の鎖を断ち切るキリストによって被害者が解放されるようにと祈る彼の姿勢に、私はとても感動した。

ヴィレムさんは、実に91週間の連続ウォーキングを終え、南アフリカに帰国した。帰国後に自費出版した書籍『The Miracle is to Walk on the Earth(奇跡は地の上を歩くこと)』」の中で、その体験と発見をいくつか紹介している。ちなみに電子書籍版は以下のサイトより8ドルでダウンロード可能。収益は日本の宣教団体に寄付される。https://payhip.com/b/zB2w?fbclid=IwAR1KkmgFRT3qUv2Ukv7mPkW50ieEvpyjsfSrR1jaokSNcd5LrPZ4dUjFEsI

(神門バニー)